日本独自と言われてきた前方後円墳が、韓国にもあることが近年しだいに明らかになった。なぜ朝鮮半島にあるのか。日本の前方後円墳とはどんな関係になっているのか。本書『「異形」の古墳――朝鮮半島の前方後円墳』(角川選書)はこの問題について研究者が分かりやすく解説したものだ。日韓両国の学者によるこれまでの研究成果や、様々な推論を丁寧に紹介している。 栄山江流域に14基 著者の高田貫太さんは1975年生まれ。岡山大学文学部、同大学院を経て韓国の慶北大学校大学院考古人類学科博士課程修了。現在は国立歴史民俗博物館研究部准教授・総合研究大学院大学文化科学研究科准教授。著書に『古墳時代の日朝関係』、『海の向こうから見た倭国』などがある。 韓国で前方後円墳が見つかっているのは、南西端に位置する栄山江流域。古代の百済に隣接するとみられるエリアだ。1980年代から正確な測量図の情報が伝わるようになり、90年代に入っ