【ロンドン=黒瀬悦成】中欧スロバキアのフィツォ首相が15日に銃撃された事件は、移民流入や強権的指導者の台頭などを巡る欧州の政治的分極化が最悪の形で露呈させた。民主的手続きで選ばれた指導者を暴力で封殺しようとする風潮が他の欧州諸国にも波及する「前兆」として警戒する声も出ている。 昨年10月に3度目の首相に就任した中道左派のフィツォ氏はポピュリスト(大衆迎合主義)的な政治手法と親ロシア的姿勢で知られる。スロバキアは北大西洋条約機構(NATO)加盟国だが、フィツオ氏はウクライナ軍事支援停止を就任直後に正式表明した。 欧州連合(EU)などが進める対露経済制裁にも、スロバキアは自国経済に悪影響を与えるとして否定的だ。同様の立場をとるハンガリーのオルバン首相と連携を強め、欧州の対露結束を揺さぶっている。 内政面でフィツォ氏は移民や難民の流入を徹底的に阻止すると表明。EUが移民・難民受け入れの負担を加盟