欧州連合(EU)加盟国のドイツとフランス、ポーランドの3カ国は「ワイマール三角連合」と名付けられた協力枠組みを形成している。ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略を受け、欧州全土でロシアのさらなる侵略行為への危機感が高まる中、ワイマール三角連合の安全保障協力が活性化され、欧州本土の対露防衛を牽引(けんいん)していくことへの期待が広がり始めている。 ポーランドは「不信感」 足並み揃わず「ワイマール三角連合は環大西洋関係にとって可能な限り最善の未来に対する責任があると感じている」
イタリアやドイツ、フランス、フィンランドなど欧州の多くの国々で、過激な極右を含む右派政党が支持を広げている。「難民・移民の排斥」に加えて「反既得権益」「反既成政党」といった主張を掲げることが多いこれらの政党は、ポピュリズム(大衆迎合主義)的な色彩が強い。伝統的な保守・中道右派政党の退潮が目立つ中、欧州はこのまま「右傾化」の度合いを強めていくのだろうか。 「ムソリーニは優れた政治家だったと思います。彼が行ったことは全てイタリアのためでした」 2022年10月からイタリア初の女性首相を務めるジョルジャ・メローニ氏は1996年、フランスのテレビ局とのインタビューでこのように述べ、かつてイタリアを第二次世界大戦に引きずり込んだ独裁者、ベニト・ムソリーニ(45年4月に処刑)を礼賛したとして物議をかもした。 イタリアの民族主義者にして極右の大衆迎合主義者と評されるメローニ氏は、15歳のときにムソリーニ
ロシアのウクライナ侵略開始から1年を前に、バイデン米大統領が演説したポーランドの首都ワルシャワの会場で、ウクライナの国旗を握る20代のウクライナ人女性に出会った。東部イジュム出身のボランティナ・クルアさんだ。 イジュムは昨年3月、南部マリウポリと東部ハリコフを結ぶ要衝として露軍に制圧された。ウクライナ軍が同年9月に奪還後、露軍に虐殺された住民の集団埋葬地が見つかった。 警察で働いていたクルアさんは町が占領された後、母と妹とポーランドに逃れた。「父はロシアの兵士に殺されました」と涙を浮かべた。今はワルシャワの支援団体で同胞の難民たちの世話をしている。 「ウクライナは自由」とポーランド語で書かれた鮮やかなTシャツを着ていた。青と黄色のウクライナ国旗の中心に真っ赤な心臓の絵柄。その周りにはイジュム、バフムト、ブチャ、イルピン…露軍に蹂躙(じゅうりん)された40以上の地名を記した。それらの故郷を追
戦禍から逃れたウクライナの避難民を支援しようと、5月末からボランティアとして日本の大学生計101人が欧州に派遣された。ロシアの軍事侵攻から間もなく10カ月。戦闘の長期化に伴い、いまも各地では避難生活を送る女性や子供も多い。「日本でもウクライナへの関心が薄れつつあるが、今も混乱の中で困っている人たちが大勢いる」。今秋に活動に参加した大学生は、帰国後も防寒着を送る活動に取り組み、広く支援の必要性を訴えている。 10月中旬、ポーランド東部のメディカ。国境沿いの検問所では、ウクライナからのバスが次々と到着していた。パスポート検査(入国審査)を受けるために、車内から姿を見せる避難民の多くが女性や子供、高齢者。疲れや今後の不安からか、常に重苦しい空気が漂っていた。 「侵攻から8カ月たっても慣れ親しんだ土地を離れ避難する人の多さに驚いた」。10月4日から約2週間にわたり、オーストリアとポーランドで活動し
ロシアの侵略を受けるウクライナの隣国ポーランドにミサイルが着弾して2人が死亡した。 バイデン米大統領は、軌道からみて、着弾したのはロシアが発射したミサイルではないという見方を示した。ポーランドのドゥダ大統領は、ウクライナの迎撃ミサイルが落下した可能性が高いと語った。 ロシアの非道な侵略とウクライナへのミサイル攻撃がなければ、今回の悲劇はもとより起き得なかった。責任が全面的にロシアにあることは明白である。 ミサイルは15日、ウクライナ国境から約7キロのポーランド東部プシェボドフに着弾した。ポーランドは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国だ。ロシアからの攻撃にはNATO条約第5条に基づく集団的自衛権が発動され得る。国際社会には緊張が走った。 ロシアは10月以降、ミサイルや無人機によるウクライナ全土への攻撃を強めている。ウクライナでは電力インフラの4割が損傷し、危機が深まっている。ロシアの攻撃は
ウクライナに隣接するポーランド東部に着弾したロシア製ミサイルについて、渡部悦和元陸上自衛隊東部方面総監に話を聞いた。詳細は次の通り。 ◇ ポーランド東部に着弾したミサイルはウクライナ軍が発射した迎撃ミサイルだという米当局者の見方が正しいとすれば、ロシア製の地対空ミサイルS300であろう。ロシア本土ではなく、ウクライナ北方のベラルーシから飛んだ露軍機が撃ったKh101空対地ミサイルの迎撃に失敗したと考えられる。 着弾したミサイルの破片を分析すれば、S300なのか、Kh101なのかは見分けられる。現地に入った米軍関係者が確かめ、米当局者の情報として伝わったのではないか。 ポーランド国境に近いウクライナ西部リビウには、露軍が破壊したい目標が数多くある。エネルギー関係のインフラや訓練施設があり、北大西洋条約機構(NATO)のヒト、モノもポーランド国境を通って流れ込み、リビウが集積地となっている。ウ
ポーランド政府は15日、ロシア製のミサイルがウクライナに隣接するポーランド東部プシェボドフに着弾し、2人が死亡したと発表した。ロシアによる2月のウクライナ侵略後、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に着弾して犠牲者が出たのは初めてとみられる。AP通信によると米当局者は初期段階の分析として、ロシアのミサイルを迎撃するためウクライナ軍が発射したミサイルが落下したとの見方を示している。(キーウ 黒川信雄、ロンドン 板東和正、ヌサドゥア=インドネシア・バリ島 渡辺浩生) ウクライナでは15日、露軍による大規模攻撃が広範囲にあり、首都キーウ(キエフ)や西部リビウなどで被害が出た。露製ミサイルは現地時間15日午後、ウクライナ国境まで約7キロのプシェボドフに着弾した。 NATOのストルテンベルグ事務総長は16日の記者会見で、ロシアのミサイルを迎撃するためにウクライナ軍が発射したミサイルである可能性を示し、
欧州諸国で原子力発電の比重が増大している。ウクライナへの違法な侵攻で欧米などから制裁を受けたロシアが天然ガスの供給削減で反撃しているためだ。 原発の増設や新規建設、廃止延期など形は多様だが、原子力をエネルギー自給の原動力として重視する姿勢は各国共通。 そうした中、原発新設を目指すポーランドから官民混成の視察団が来日し、東京電力福島第1原子力発電所や関西電力の美浜原子力発電所を訪れた。 視察団との交流視察団はポーランド気候環境省の職員や大学の研究者、NPOのリーダーなど男女同数の計6人。原子力をはじめとするエネルギー、国際問題、気候変動を専門とするメンバーだ。 原子力国際協力センター(JICC、東京都千代田区)の招待で8月28日から1週間、滞在した一行と意見交換をする機会を得てポーランドの原発計画の概要やこれまでの歩みを聞かせてもらった。 以下は彼らの話を、国際エネルギー機関(IEA)のリポ
【ソウル=時吉達也】ロシアの軍事侵攻でウクライナを支援している隣国ポーランド政府は27日、韓国から戦車約千両、戦闘機48機などを購入する契約を結んだと発表した。総額は少なくとも10兆ウォン(約1兆円)に達するといい、韓国では過去最大規模の武器輸出となる。韓国政府は防衛産業を今後の輸出分野の主力に掲げており、ウクライナ戦争の〝特需〟を追い風に「軍需大国」への道を着実に歩んでいる。 発表によると、ポーランドは韓国から戦車「K2」180両の年内引き渡しを受けるほか、技術移転を通じさらに800両以上を現地生産する。韓国メディアによると、同戦車や戦闘機「FA50」が欧州に輸出されるのは初めて。今後の追加契約分を含めた契約総額が向こう10年間で25兆ウォンに達するとの見通しもあり、ポーランドのブワシュチャク国防相は契約締結式で「今回の武器契約はここ数年で最も重要なもの」だと強調した。 ポーランドはウク
フィンランド、スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟申請により、バルト海ではロシアとの緊張が高まる。沿岸のNATO加盟国は軍備増強を急ピッチで進めている。 ポーランドは今春成立した国防新法で、兵力を倍増し、30万人規模にする計画を決めた。5月、全国で新兵採用キャンペーンが始まった。 30万人のうち5万人は志願兵とする方針。28日間の基礎訓練後、随時訓練や任務に就く制度で、ウクライナ侵攻後に希望者が急増した。政府は公務員としての採用優遇などの措置で、参加を促している。新法では、国防費を国内総生産(GDP)の3%にすることも定められた。 スウェーデンは3月、国防費をGDPの2%に増額する方針を発表した。「GDP比2%」は、NATOの目標値でもある。 スウェーデンはロシアの脅威増大に応じて2017年に徴兵制を復活させ、動員兵力を6万人から9万人にすることを目指す。バルト海では15年、機能
取材でポーランドに滞在したとき、歴史博物館を訪れた。館内に足を踏み入れ、ちょっとたじろいだ。ザクッ、ザクッという軍靴の音がBGMとして鳴り響いていたからだ。 「軍靴の音が聞こえる」という言葉は、戦後の日本で軍国主義復活への警鐘として使われた。しかし、ポーランドでは全く違う意味だった。 この博物館は、第二次大戦中、ドイツ占領に立ち上がった住民蜂起を記念して建てられた。ドイツ、続いてソ連に蹂躙(じゅうりん)された苦難の歴史を展示で伝え、軍靴の音には「占領者に決して屈するな」という戒めがこもる。隣国ウクライナがロシアに侵攻されるさなか、博物館は地元の見学客でいっぱいだった。 「歴史の教訓」は、国によってさまざまだ。ドイツはナチスの反省から戦後、「過去を繰り返さない」を掲げ、平和主義に徹してきた。それが今や、ウクライナへの武器支援をめぐって政権が大揺れ。ゼレンスキー大統領に「そんな標語に価値はない
訪問先の講道館を出発する際、全日本柔道連盟の山下泰裕副会長(右)と抱き合うロシアのウラジミール・プーチン大統領=2016年12月16日、東京都文京区(桐原正道撮影)足元から厳しい冬の寒さがはい上がるポーランド南部を16年前に訪れた際、ウクライナ国境に足を延ばした。ポーランドの国名の語源とされる平原がウクライナ側にも延々と続き、その荒涼とした雰囲気に言葉もなかった。 冷戦時代、ソ連専制主義下で「服従」を強いられたウクライナの人々に思いをはせるとき、逃れ難い歴史の非情さに胸ふさがれる思いがした。 ソ連や後継国ロシアに対する憎悪の念、複雑な感情は、冷戦期にソ連から圧迫された隣国ポーランドの人々の心にも熾火(おきび)のように残る。
「特別蜂起部隊イエジキ」の慰霊碑。部隊を顕彰する記念協会メンバー着用の部隊腕章には、ワシがデザインされたポーランドの国章と「国内軍」の文字が記されている=2019年7月、ポーランド(小島新一撮影)日本の近現代の足跡を、国内外に訪ねます。明治時代に急速な近代化を成し遂げ、国際連盟の常任理事国入りしたわが国は、大東亜戦争で国家衰亡の危機にひんしました。偏った「日本悪玉史観」によって封印されてきた、先人の苦難と誇りが刻まれた現場の数々を紹介します。初回は、ロシアの侵略と戦うウクライナ支援で注目されるポーランドから。(大阪正論室長 小島新一) 「武器をもって戦うウクライナの人々の士気は高く、戦闘は長期化するでしょう。われわれは、逃れてくるウクライナの人々をすべて受け入れます。それは、かつて日本がポーランドの子供たちを受け入れてくれたことへの『お返し』なのです」 ロシア軍がウクライナに全面侵攻を始め
ロシアに侵攻されたウクライナの隣国、ポーランドは北大西洋条約機構(NATO)の東方防衛の最前線になっている。米軍が拠点を置く南部ジェシュフ郊外の空港を訪れると、敷地内に地対空ミサイルが配備され、厳戒態勢が敷かれていた。 空港のある人口約2千人の小村は、米軍の駐留で様変わりした。上空では黒い米軍ヘリコプターが、轟音(ごうおん)を上げて飛行し、車道は軍用トラックが行き交う。空港の東端には、ミサイル発射装置を載せたトレーラーが止まっていた。地対空ミサイル「パトリオット」とみられる。ウクライナが位置する東方を向いていた。 空港は、ウクライナ国境から約70キロの距離にある。近くに住むジュラ・フランシシェクさん(71)は、「1日3、4度、米軍ヘリが飛んでくる。騒音? 全く気になりませんね。米軍は大歓迎」と話す。26日には、国境の向こうのウクライナ西部リビウが露軍のミサイル攻撃を受けたが、「仮にこの村が
ポーランドのウクライナ国境には、難民を支援するため、世界各国の民間団体(NGO)が集まる。個性的なテントが林立し、不謹慎だが、イベント会場のようなにぎわいだ。 検問所に一番近いところには、イスラエルの医療団体が陣取る。代表のアヤラさんは黒髪の美女。「イスラエルに行きたい人の案内もしています」という。ウクライナにはユダヤ系が10万人以上おり、縁が深いそうだ。ミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」の舞台でもある。 さらに進むと、サンタクロース姿の英国人男性が、チョコレートを配っていた。難民たちの疲れた表情が、ちょっと和む。すると、突如カレーの匂いが…。振り返ると、ターバン姿のインド系男性が鍋をかき回していた。「自慢の一品をどうぞ」と紙皿を差し出している。シーク教徒の団体だ。 中国語が聞こえてきたので行ってみると、在米中国人の支援団体だった。テントに、赤い中国旗と大きなバツ印が描かれている。責
【パリ=三井美奈】ロシアによるウクライナ侵攻を受け、欧州諸国が軍備増強に動いている。発端になったのはドイツ。左派主導のショルツ政権は国防費の大幅増額に加え、米国との核共有(ニュークリア・シェアリング)のため、最新鋭戦闘機F35を購入する方針を発表した。ロシアの脅威増大で国民の危機感が高まる中、戦後伝統の「平和主義」の転換に動いた。 ドイツの新国防政策は、ショルツ首相が2月27日、連邦議会で発表した。ロシアによる侵攻開始の3日後だ。「歴史は転換点にある。民主主義防衛には国防への投資が必要」と訴えた。 ショルツ氏は「紛争地に殺傷兵器を送らない」という原則を翻し、ウクライナへの武器支援を表明した。そのうえで、現在は国内総生産(GDP)比1・5%の国防費を2%に増額し、軍備増強のため、1千億ユーロ(約13兆円)の基金を創設すると宣言した。 F35はステルス性能が高い戦闘機で、ショルツ氏は「潜在的な
KC767空中給油輸送機によるウクライナへの防衛装備品提供で派遣され、愛知県の小牧基地に帰国した自衛隊員ら=13日午前 ロシアに軍事侵攻されたウクライナへの防衛装備品提供第1陣として派遣された航空自衛隊のKC767空中給油輸送機が13日午前、愛知県の小牧基地に帰国した。8日深夜に同基地を出発。日本時間の10日夜、隣国のポーランドに到着し、ウクライナ側に防弾チョッキやヘルメットを引き渡した。 ウクライナへの提供では第2陣の空自C2輸送機も同様に防弾チョッキやヘルメットを搭載し、10日に鳥取県の美保基地を出発。岸信夫防衛相は11日の記者会見で「ウクライナのために、できる限りの支援をしていく。粘り強く侵略に抵抗する人々の命を守る一助となることを強く願う」と述べた。
ロシアの侵攻を受け、ウクライナと国境を接するポーランドの街に無数の避難民が押し寄せている。「第二次大戦以降で最大の国外脱出」(欧米メディア)ともいわれる事態に対処するため、地元の自治体はボランティアと協力して対応に当たっている。 ウクライナとの国境から約70キロ。ポーランド南部ジェシュフの鉄道の駅では1日、構内に急遽(きゅうきょ)設けられた小さな遊戯スペースで子供たちが遊んでいた。近くには市当局や地域住民が持ち寄った毛布や衣類、紙おむつなどが並ぶ。 ふだん待合室として使われている構内の一室では、80人ほどの避難民が着の身着のままで疲れを癒やしていた。提供された食事を一心不乱に食べる人々の姿もあった。駅では20人前後のボランティアが避難民の世話をしている。 市の広報担当、マジエナ・クラビエツさん(42)は、「1泊だけ無料で泊まれる施設も設けた。ジェシュフは彼らがとどまる場所ではなく、中継地点
欧州連合(EU)司法裁判所は16日、加盟国が「法の支配」の原則を順守しない場合、新型コロナウイルス禍で深刻な打撃を受けた国を支援する「復興基金」の支払いを停止できるとの規定は合法との判決を下した。強権主義に傾斜するハンガリーとポーランドが規定の無効化を求めて司法裁に提訴していたが、退けられた。両国は判決内容に反発しているものの、景気低迷への懸念やウクライナ情勢の緊迫化を受け、EUの価値観を完全に無視することが難しい事情もある。 深まる亀裂EUは2020年12月、新型コロナウイルスで打撃を受けた国を支援する復興基金7500億ユーロ(約98兆円)などを承認。法の支配の順守を資金分配の条件にする規定を設けていた。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く