今年に入り、「新三害」と呼ばれる「網暴」(ネットでのバッシング)が中国で広がった。「三害」とはもともと、新中国建国後、「官僚主義」「汚職」「浪費」の「三つの害毒」を撲滅せよとのキャンペーンで使われた言葉だが、今回登場した「新三害」とは、ノーベル賞作家の莫言、名門の清華大学、そしてミネラルウオーターの「農夫山泉」の三つであり、いずれも「小粉紅」(リトルピンク、未熟なナショナリスト)による攻撃にさらされた。 なぜこの三つが「網暴」を受けたのか。莫言は、映画化もされた代表作『紅高粱』(邦題『紅いコーリャン』)などの作品が八路軍(人民解放軍の前身)を「醜く描き」「革命の烈士を侮辱し」「毛沢東を貶めた」などとして、中国人一人に一元、総額で十五億元を支払えとブロガーが二月に北京の裁判所に提訴(裁判所は三月末、訴えを受理しないと決定)した。 清華大学は、卒業生の多くが米国に留学し、米国政府による、軍事研