元首相、現職首相への襲撃をいずれも防げなかった警察の要人警護は立て直されたか。和歌山市の選挙演説会場で岸田文雄首相に爆発物が投げられた事件から1年が経(た)った。 警察庁は要人警護の運用を根本から見直してきた。16日には衆院3補選が告示される。聴衆が集まる場の安全をどう確保し、テロを防ぐか。「重すぎた教訓」を生かさなければいけない。 岸田首相襲撃は、安倍晋三元首相の衝撃的な射殺事件から僅か9カ月後に起きた。防げなかった警察にかつてない不信と不満が突き付けられ、日本の民主主義の根幹が揺らいだ。 警察が進めてきた要人警護見直しの柱は3つある。1つは演説会場の安全確保の徹底だ。会場は屋内を優先に選び、出入りを管理する。来場者の手荷物検査、金属探知を実施する。握手など接触行動を控える。警護対象側の歩み寄りは不可欠だ。 陣営が会場周辺を下見し、危険区域を警察と打ち合わせ、襲撃犯が潜める隙間を潰す詳細