戦争体験者は100歳前後が主流となり、相次いで鬼籍に入っていく。終戦から78回目の夏を迎え、「最後」ともいえる体験者たちの証言を伝えたい。 最初で最後の主砲「ドーン!」。先の大戦末期の昭和19年10月25日早朝。当時世界最大の不沈艦と呼ばれた戦艦「大和」の主砲である46センチ砲が、初めて火を噴いた。手旗信号などで味方艦船と連絡を取り合う信号員として大和に乗艦、レイテ沖海戦に臨んでいた石上(いしがみ)清文さん(98)=兵庫県淡路市=は、その歴史的瞬間に立ち会っていた。 「爆風はもちろん、音だけで体ごと吹き飛ばされそうな、すごいとしかいいようがなかった」と振り返る。だが、世界最大の主砲が敵艦に向けて発射されたのは、これが最初で最後となった。 「初めて見たときはあまりに大きく、島だと思いましたね」 高知県の宿毛湾沖を航行する戦艦大和。当時は世界最大で不沈艦と呼ばれた=昭和16年10月17年3月、