<団塊ジュニア世代が30代を迎えた今世紀初頭、政府が推進したのは少子化政策とは逆行する「痛みを伴う改革」だった> 2023年の日本の出生数は75万8631人だったという。前年に比べて1万2128人の減。止まらない少子化に対し、政府高官は危機意識を露わにして「2030年代になると若年人口が急速に減少する。それまでの6年間が、少子化傾向を反転させるラストチャンスだ」と述べている。 だが、若年人口は既に急速な減少の局面に入っている。少子化傾向を反転させる(出生数を増やす)のは、物理的に難しいだろう。できるのは、出生数の減少速度を緩めることくらいだ。 少子化傾向を反転させるラストチャンスは、人数的に多い団塊ジニュア世代の出産年齢末期だった今世紀の初頭だった。当時、第1次・第2次に続く「第3次ベビーブーム」が起きると期待された。現実がどうだったかを振り返ると<図1>のようになる。 年間出生数の長期推