「書店は本を介して主張と主張が正面からぶつかり合って闘う『言論のアリーナ』であるべきではないか」と語る書店員の福嶋聡さん=大阪市北区で2024年4月16日、梅田麻衣子撮影 始まりは10年前のあるイベントだった。 「それでも、書店の人間として『ヘイト本』を書棚から外すという選択はしません」 丸善ジュンク堂書店で働く福嶋聡さん(65)はそう公言してから、「ヘイト本を外さない理由」を自問してきた。隣国への憎悪をあおる、いわゆる「ヘイト本」には批判的な立場だ。だけど、書店人として排除はできない。ならば闘ったら? 悩みながら「言論のアリーナ(闘技場)としての書店」という考え方にたどりついた。 傍観ではなく、中立でもない。「アリーナ」とはどんな場なのだろう。新著『明日、ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか』(dZERO)を刊行した福嶋さんに聞いた。 「ヘイト本」規制にNO 2014年12月、大阪市
Published 2024/04/24 17:57 (JST) Updated 2024/04/24 21:30 (JST) 自民党の杉田水脈衆院議員が24日付のX(旧ツイッター)投稿で、戦前の軍国主義教育を支えた教育勅語を礼賛する杉田氏を「背筋が凍る」と批判した一部の書き込みに言及し「私は今までそんなことをおっしゃる日本人に会ったことがありません」と記した。書き込んだ投稿者は日本国民とは思えないとの見方をほのめかし、偏狭なナショナリズムや排外主義をあおった形だ。 杉田氏はこれに先立つ別の投稿で、自身が今月出席したとする集会の様子に触れ「国歌だけでなく(軍歌の)『海ゆかば』も斉唱した後、全員で教育勅語を唱和。背筋が伸びる思いがしました」などと強調。返信欄には「背筋が凍る思い」と酷評する声が寄せられていた。
「国を持たない最大の民族」といわれるクルド人。埼玉県川口市や蕨市には約2000人が集住しているとされ、難民など複雑な事情で来日するクルド人も少なくない。 ネット上では、クルド人の排斥を訴えるヘイトスピーチが目立っている。ゴミ出しや騒音の問題など、文化の違いから日本人との軋轢が発生していることは確かだ。しかし、ネット上では「偽装難民」や「犯罪外国人」といった臆測や偏見に基づく投稿も散見され、問題となっている。彼らはどんな思いで生活を送っているのか。 日刊ゲンダイは3月下旬、蕨市でクルド人の子供たちの支援活動を行う女性Aさんに同行。実態を探った。Aさんはこう言う。 「子供たちに勉強を教えてあげることもあれば、日本語が得意でないご両親と学校の間に入ったり、役所などの手続きを手伝ったりしています。時には授業参観に行くこともあります」 高校進学を控えるクルド人の女の子の家を訪れると、彼女は数日前に卒
<これまで大きなトラブルもなく10年以上にわたってうまく共生してきた埼玉県蕨市のクルド人と日本人の関係に楔を打ち込む事F件があった。なぜ共生はうまくいかないのか> 2月18日、埼玉県の蕨市駅周辺で、右派系市民グループ「日本第一党」に所属していた人物が主催するデモが行われた。標的にされたのは、川口市や蕨市に住むクルド系の住民だ。 日本社会で暮らす外国人や外国にルーツを持つ人々の数は増えつつある。その一方で、右派系市民グループや右派系ジャーナリスト、またSNSなどで煽られた匿名のアカウントらが、地域社会に定着して暮らしている外国人の生活を脅かすという現象が生じている。 埼玉県南部のクルド人コミュニティへの差別の拡大 近年、川口市や蕨市など埼玉県南部地域では、クルド系住民の数が増えている。難民申請者もいれば正規ビザ取得者もおり、在留資格は様々だが、人口は約2000人と言われる。現地でクルド人と日
世界で猛威をふるっているコロナウイルス。仕事がリモートワークとなったり、プライベートでもなるべく人と会うことを避けるなど、人とかかわること自体が少なくなっています。コロナウイルス以外の話題はニュースで「埋もれてしまいがち」でもあります。今回は今月上旬に行われたドイツのIntegrationstag(和訳:統合サミット)をはじめ、そんな埋もれてしまった話にスポットを当ててみたいと思います。 自らのルーツに触れたドイツのメルケル首相 コロナウイルス騒動が始まったばかりのころ、ヨーロッパではアジア系の住民への差別が問題となっていました。でも「何々人に見える」というふうに「人を肌の色などの見た目で判断する」ことはコロナウイルスが登場する前から行われてきました。先日ドイツのメルケル首相がドイツ政府によるIntegrationstag(和訳:統合サミット)のスピーチの中でそういった理不尽について語りま
さいたま市の埼玉県営秋ケ瀬公園で続いてきたトルコなどの少数民族・クルド人の春の祭り「ネウロズ」の今年の開催が危ぶまれている問題で、公益財団法人・県公園緑地協会は29日、中止を求めていた演奏を許可する検討を始めたことを明らかにした。過去に演奏を認めた例があり、明文化されたルールもなかった。方針が二転三転する協会の対応は批判を招きそうだ。
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船橋市古作3の寺院「明王院」で昨年9月、塀などに落書きされていたことが23日、明王院への取材で分かった。千葉県内では昨年9月と今年1月、市川市八幡4の葛飾八幡宮でも同様の落書きが確認されている。 明王院住職の宇野加威さん(40)によると、昨年9月12日、門の通用口の内壁に黒色のペンで「アジア立入禁止」と書かれているのが見つかった。いたずらだと思いその日のうちに除光液で消したが、翌日、道路脇の塀にも落書きを見つけ、船橋署に相談した。同署は相談を受け、パトロールを強化したという。 塀には「ほほえみかけられるほうだよ 仏教はアジアキリスト圏立入禁止」と書かれていた。宇野さんは「塗装業者に落書きを消してもらった。10万円ぐらいはかかった」と話す。 市川署などによると、葛飾八幡宮では今年1月、門の壁に黒色のペンで「ほほえみかけられているほうだよ さらされコリアン イエスキリスト」と書かれているのが確
画家の倉田真由美氏が24日、X(旧ツイッター)を更新。22日に行われた「第56回ミス日本コンテスト2024」で、ウクライナから日本に国籍変更したモデルの椎野カロリーナさん(26)がグランプリに輝いたことについて私見を述べた。 ネットでは、両親がウクライナ人のカロリーナさんが「ミス日本」でグランプリを獲得したことに疑問を呈した投稿が拡散され、議論が白熱。カロリーナさんはウクライナで生まれ、5歳で来日。昨年に日本国籍を取得している。 倉田氏はカロリーナさんに対し「ミス日本に選ばれたこの方、とても美しいと思う」と賛辞を送りつつも「しかし私は『ミス日本』とは、『日本人を代表する美しさを持つ人』と解釈していた。その定義には当てはまっていない。彼女の美しさは、『日本的美しさ』とは違うものだ。『ミス日本』とはどのような定義のものなのか」とつづった。 倉田氏の投稿に対し一般アカウントから「日本人の美しさっ
人種や肌の色、国籍などを理由に警察官から繰り返し職務質問を受けてきたとして、外国出身の3人が「差別にあたり憲法違反だ」と主張して、国などに賠償を求める訴えを近く東京地方裁判所に起こすことがわかりました。人種や国籍などに基づく職務質問は海外で問題になっていて、国内でもそうした行為の違法性について争われるとみられます。 代理人の弁護士によりますと、訴えを起こすのは東京や愛知県などに住む外国出身の男性3人で、いずれも外見などを理由に繰り返し警察の職務質問を受け、苦痛を感じてきたとしています。 中には20年以上、繰り返し職務質問を受けるうちに自宅にこもりがちになったと訴える原告もいます。 3人は「人種に基づいた差別的な取り扱いで憲法違反だ」として、国と東京都、愛知県に1人あたり300万円の賠償などを求める訴えを、近く、東京地方裁判所に起こすということです。 人種や肌の色、国籍などを理由に相手を選ぶ
「ヘジャブを着けるな」。農業経営を学びたいと来日したイスラム教徒の女性にかけられたのは、心ない言葉だった。深刻な人手不足を補うため国が創設した特定技能制度だが、今も現場では人権侵害と指摘されるケースが後を絶たない。「もう限界」。女性は恐怖感から逃げるように退職した経緯を明かした。 農業経営を夢見て日本語学び デア・ウィディヤニンシさん(25)は、インドネシアの首都ジャカルタから東へ約200キロ、西ジャワ地方のマジャレンカという農村で生まれ育った。将来はコメ農家を営む父の後を継ぎ、機械化による大規模な農業経営に取り組みたいという夢を抱いた。 高校生の時、インターネットで日本の農業は機械化が進んでいるという記事を読み、日本に憧れた。インドネシアの農業大学を卒業し、日本語も学んだ。 2022年11月、特定技能の在留資格で来日。鹿児島県内で農園を営む会社に就職した。創業者の娘や夫らが中心の親族経営
DHC元会長の吉田嘉明氏が設立した通信販売会社「大和心」(東京都)が、外国人差別をあおる内容のチラシを新聞に折り込んでいた問題で、新たに大阪府枚方市で「朝日」に、長野県で地方紙「信濃毎日」に折り込まれていたことが26日、分かりました。「信濃毎日」は本紙の取材に「差別を助長しかねない内容が含まれていた」として、今後同様のことがないよう折り込みを取り次ぐ会社に要請するとしています。(嘉藤敬佑) 枚方市の新聞販売店によると問題のチラシは、「朝日」のグループ会社「朝日オリコミ」の取り次ぎで11月24日に折り込まれたといいます。朝日オリコミは、これまでに千葉県内の一部で「朝日」への折り込みを手配していたことが本紙の調べで分かっています。 「信濃毎日」によるとチラシは11月24日に、長野県全域で同紙に折り込まれたといいます。チラシの内容については、折り込み各社がそれぞれ審査基準を設けており、新聞の発行
埼玉県の立沢貴明・越谷市議(39)=自民=がX(旧ツイッター)に、自身の行政書士事務所が外部から依頼された仕事の秘密を明かしたうえクルド人への差別をあおる投稿をしたとして、県行政書士会は「典型的なヘイトスピーチ。行政書士法にも違反している」として削除を求める声明を発表した。立沢市議は取材に対し、ヘイトスピーチにはあたらず削除しないと話している。 立沢市議は今月1日、自身の…
東京都杉並区が後援し今月初めに同区内で開かれた在留外国人らとの交流イベントで、参加者の外国人と日本人がトラブルになり、外国人が区民の女性に対し「神はあなたを殺す」などと暴言を吐いていたことが12日、複数の関係者の話で分かった。区民の女性は「外国人がどんな言葉に反応されるか分からず、怖い」と話した。区は「問題があれば主催者から報告してもらう必要がある」としている。 交流の会話で激高イベントは「難民・移民フェス」(同実行委主催)。今月4日、杉並区立柏の宮公園で開かれ、主催者発表で約4500人が来場。民族料理がふるまわれ、参加者はゲームなどで交流したという。 参加した区民の女性によると、イベントの途中で、黒人女性から日本語で「お茶を飲みませんか」と話しかけられた。 「どこの国から来たのですか」「ナイジェリアです」などと会話しているうちに、区民の女性が「どうやって日本に来たのですか」と尋ね、外国人
札幌、大阪の両法務局から人権侵犯にあたると認定された杉田水脈議員の2016年のブログ投稿。当の杉田議員は謝罪をすることなく、後日動画で「私は差別をしていません」と自ら語ったことが、いまなお波紋を広げている。動画等による発言の詳細は既報の通りだが、杉田議員のこのような世界観の背景にはどのようなものがあるのだろうか。分析する。 ・被害者が加害者になる世界観「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさん」などとブログに書きながら、先の動画内では「私はアイヌや在日の方々に対する差別はあってはならない…」とする。更に「逆差別、エセ、そしてそれに伴う利権、差別を利用して日本を貶める人たちがいます。差別がなくなっては困る人たちと闘ってきました」と発言する杉田議員。通常の読解力では、なにやら矛盾にも取れる。 在日コリアンやアイヌ民族の人々は、確かに日本社会にあっていわれなき差別を受けてきた経緯があり
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