横浜市の旧大口病院(現・横浜はじめ病院、休診中)で入院患者3人が殺害された点滴中毒死事件で、横浜地裁は9日、元看護師の久保木愛弓(あゆみ)被告(34)に完全責任能力があったと認めた上で、無期懲役を言い渡した。3人もの命が奪われ、被告の責任能力も認定されたケースでは異例の判断となった。 「苦しい評議でした。慎重に、本当に慎重に検討しました」 横浜地裁の家令和典裁判長は、久保木被告への説諭の中で、悩みに悩んだ上での死刑回避の判断だったとの思いをにじませ、「生涯をかけて償ってほしいというのが、裁判所が出した結論です」と、更生を願う言葉をかけた。 刑事責任能力の程度が最大の争点となった一方、その判断が量刑に直結しなかった今回の判決。地裁が最も重視したのは、被告がなぜ患者の殺害に及んだのかという犯行の過程だった。 判決では、発達障害の一種である自閉スペクトラム症の特性があった被告は臨機応変な対応を行