トルコ中央銀行は25日、政策金利を8.5%に据え置いた。据え置きは3カ月連続で予想通り。2021年10月撮影(2023年 ロイター/Cagla Gurdogan)
メモリアルデーの議会休会で残された時間は無くなりつつある 米国時間5月24日も、政府債務上限を巡るバイデン政権と下院共和党との協議は続けられた。協議は約4時間行われたが、両者が債務上限引き上げで合意することはなかった。 マッカーシー下院議長は「適切なタイミングで再び会うことになるだろう」と語ったが、5月29日のメモリアルデー(戦没者追悼記念日)前に、議会は休会に入ってしまう。例年であれば議会はメモリアルデーを挟んで1週間の休会となる。25日には下院議員らはワシントンを離れる見通しだが、そのまま1週間の休会となれば、6月1日までに議会で債務上限引き上げを決めることはできなくなる。25日に合意に達しない場合には、議会の休会期間が短縮される可能性もあるだろう。 しかし、いずれにしても、6月1日までにバイデン政権と下院共和党が債務上限引き上げで合意し、法案が議会で可決され、大統領が署名するまでの時
デフォルトに陥る確率は実際には低いが、金融市場は日々不安を募らせていく 債務上限引き上げ問題を巡るバイデン大統領と下院共和党との協議はなお平行線を辿っており、向こう数日間でにわかに合意に達する兆しは見られない(コラム「米債務上限引き上げで再度合意できず:今後の展開で4つのシナリオ」、2023年5月23日、「なお遠い米国債務上限・デフォルト問題の解決:金融市場の動揺が問題解決の鍵であり懸念でもある構図」、2023年5月17日)。 イエレン財務長官は、6月1日にも米国政府がデフォルトに陥る期限、いわゆる「Xデー」が来ることに警鐘を鳴らしている。実際にはどの日が本当の「Xデー」となるかは明確でなく、財務省が追加的な措置を講じない限り、6月上旬のどこかで「Xデー」を迎えることになるだろう。 ただし、実際には財務省は、公務員、軍人の給与支払いの延期などを実施し、国債の償還、利払いを優先することで、「
実質賃金は12か月連続で低下 厚生労働省が5月23日に発表した3月分毎月勤労統計(確報)によると、現金給与総額は前年同月比+1.3%(前月は同+0.8%)となった。変動の激しい所定外給与(残業代)やボーナスなど一時金を含まない所定内給与は、同+0.5%(前月は同+0.8%)となった。 さらに、現金給与総額を消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)で割った実質賃金は、前年同月比-2.3%と大幅な低下となった。実質賃金が低下したのは、これで12か月連続である。ちなみに、2022年度の実質賃金は前年度比-1.8%と2年ぶりのマイナスとなった。 春闘での賃上げ率は予想外に上振れたが、それが本格的に賃金統計に表れてくるのはこれからである。それでも、実質賃金が前年比で上昇に転じるまでにはまだかなり時間がかかるだろう。 安定した推移を見せる所定内賃金上昇率は、春闘のベアと比較的近い動きを過去に示してきた
3回目の協議でも合意できず 米国時間22日午後(日本時間23日午前)に、バイデン大統領とマッカーシー下院議長(共和党)は、米国のデフォルト(債務不履行)回避に向けて、債務上限引き上げの協議を行った。5月9日以降、3回目である。協議は1時間程度続いたが、合意は得られなかった。 マッカーシー下院議長は、「建設的な話し合い」だったとしつつも、「まだ合意に至っていない」とした。バイデン大統領は、「債務不履行の選択肢がない点で下院議長と一致した」、「話し合いを続ける」と語った。下院議長は、「合意に達するまでバイデン大統領と毎日協議する見通しだ」としている。 バイデン大統領は1兆ドルの歳出削減を検討するとしており、債務上限引き上げの条件として歳出削減を求める共和党に歩み寄る姿勢を初めて示した。しかし、両者の隔たりはなお大きく、まだ早期に合意に達する状況ではないとみられる。 バイデン大統領は、共和党が求
中国への対抗が鮮明に G7広島サミット2日目となる20日には、「経済的強靭性及び経済安全保障」に関する討議がなされ、直後にG7首脳声明が発表された。 国名は出さないが、中国に対抗する安全保障政策の分野でG7各国が従来の連携を一層強化するとともに、支援を通じてグローバルサウスを取り込むことを狙う、2段構えの構図となった。 この声明は、まずサプライチェーンの強化、多様化を促進する方針から始まっている。「G7の間及び全ての我々のパートナーとの間の双方で協力することの重要性を強調する」として、低・中所得国の利益に配慮して、連携強化を先進国だけでなくグローバルサウスの国々にまで広げ、中国などに対抗する強靭なサプライチェーンを構築することを目指している。 サプライチェーン分野に加えて注目されるのは、「国際的なルール及び規範を損なう有害な慣行への対応」、「経済的威圧への対処」の2つの分野であり、ともに中
コアCPIの前年比は再び反転 総務省は19日に、4月分の消費者物価統計を発表した。コアCPI(除く生鮮食品)は前年同月比+3.4%と3月の同+3.1%から上昇した。政府の物価高対策の影響で2月のコアCPIは前年比+3.1%と1月の同+4.2%からいったん大きく下落したが、また上昇傾向に転じてきている。6月には再び4%台に乗せる可能性がある。 4月のコアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)は前年同月比+4.1%となり、前年比の上昇傾向は過去1年間続いている。政策効果の影響を除く基調的な物価上昇率には、なお鈍化の兆しが明確に見られていない。 4月のコアCPIの前年比は3月と比べて0.3%ポイント上昇したが、これは生鮮食品を除く食料の寄与+0.18%ポイント、宿泊料の同+0.08%ポイントでほぼ説明できる。 食料品価格の値上げの動きはなお続いており、鶏卵の前年同月比+33.7%、ハンバーガー(
政府は16日に物価問題に関する関係閣僚会議を開き、6月1日から標準的な家庭で電気料金が2,078~5,323円引き上げられることを了承した。近く経済産業相が正式に認可する。 燃料費の高騰を受けて、電力大手7社は昨年11月以降に相次いで値上げを申請した。当初、東北、北陸、中国、四国、沖縄の5社は当初4月1日から、東京と北海道の2社は6月1日からの値上げを計画していた。実際には、6月1日の一斉値上げとなる。 各社の申請時の値上げ幅は28~48%であったが、政府は各社に直近の為替水準や燃料価格をもとに再算定を求めるなどした結果、最終的には14~38%まで値上げ幅は圧縮された。 経済産業相によると、標準的な家庭における電気料金の値上げ幅は、北海道電力が21%、東北電力が24%、東京電力ホールディングスが14%、北陸電力が42%、中国電力が29%、四国電力が25%、沖縄電力が38%になる。 電力大手
政府債務上限の引き上げで早期合意は難しい 米国では、政府債務上限の引き上げを巡り、野党・共和党のマッカーシー下院議長ら米議会の与野党トップと民主党のバイデン大統領との交渉が、16日に再開される。前回は9日に行われ、物別れに終わった(コラム「債務上限問題で米政府がデフォルトに陥るXデーが近づく:景気悪化や銀行不安再燃の引き金にも」、2023年5月9日、「米国債務上限・デフォルト問題では金融市場の混乱と世論の動向が鍵に」、2023年5月16日)。 バイデン大統領は、政府債務上限引き上げの合意の可能性について問われると、「彼ら(共和党)にも合意しようという意思がある。私はそれが可能だと思う」と楽観的とも受け取れる発言をしている。 バイデン大統領は19日から広島で開かれるサミットに予定通りに参加する考えを示している。世界の金融市場を揺るがし、米国のリーダーシップに打撃となるこの問題を解決したうえで
問題解決の鍵を握る世論は大きく分かれている 米国の債務上限問題では、民主、共和両党の主張は平行線を辿っており、妥結に至る兆しは見えてこない。そうした中、金融市場は、米国債がデフォルト(債務返済不履行)に陥る可能性を徐々に織り込み始めている(コラム「債務上限問題で米政府がデフォルトに陥るXデーが近づく:景気悪化や銀行不安再燃の引き金にも」、2023年5月9日)。 共和党は、債務上限引き上げを認める条件として、大幅な歳出削減を求めている。バイデン政権が重視するクリーンエネルギー絡みの税優遇の見直し、新型コロナウイルス流行時に実施された緊急経済対策の未使用資金を回収する、メディケイド(低所得者向け公的医療保険制度)の受給要件に就労を含めて歳出を抑制する、などの内容を含んだ法案を、既に下院で成立させている。他方でバイデン政権は、無条件で債務上限を引き上げるよう、共和党に求めている。 問題解決に向け
変わる米国の債務構造と金融引き締めの影響 米国では歴史的なペースで金融引き締め策が実施されてきたが、そのもとでも経済はなお失速には至っていない。金融引き締めの影響がまず金利に敏感な個人の住宅投資、自動車購入の悪化をもたらし、その影響が経済全体に波及する形で景気が後退に陥るのが今までの典型的なパターンであった。しかし、住宅投資が2年間減少を続ける中でも、経済全体の安定はまだ大きく崩れていないのが現状だ。 これは、個人消費がコロナ問題の影響をなお強く受けていることに加えて、個人債務の状況が大きく影響しているものと考えられる。2008年のリーマンショック前には、個人債務の膨張と住宅不動産価格高騰とが同時に進行していた。しかしその後は、個人債務のGDP比率は急速に低下していく。いわゆるデレバレッジ(債務削減)が進んだのである(図表1)。 個人の経済活動が金利上昇に対する抵抗力を強めた背景には、債務
1-3月期も低空飛行が続いたか 5月17日に内閣府は2023年1-3月期GDP統計(1次速報値)を発表する。日本経済新聞の民間エコノミスト調査(4月28日時点)によると、実質GDPの予測値平均は、前期比年率+0.4%増加となった。仮にこの予測通りの結果となれば、成長率は前期(2022年10-12月期)の同+0.1%に続いて、かなり低空飛行を続けたことになる。 実質個人消費は前期比+0.4%と、前期の同+0.3%に続いて比較的堅調が続く見通しである。他方で、実質設備投資と実質輸出が前期比マイナスとなることで、全体の成長率は低調となることが見込まれている。前期の実質GDP成長率は、振れの激しい在庫投資の大幅なマイナス寄与によって下振れたことから、その反動で1-3月期の成長率は上振れることも当初は予想された。しかし、最終的にはそうはならない見通しとなっている。 家計と企業の経済活動の乖離が広がる
米銀の融資基準厳格化と企業の資金需要鈍化が同時進行(FRB銀行融資調査) 米連邦準備制度理事会(FRB)は5月8日に、四半期調査であるシニア・ローン・オフィサー・オピニオン・サーベイ(上級融資担当者調査)を公表した。4月7日までの回答が反映されている。3月以降続く中堅銀行の破綻や経営不安の影響が、どの程度銀行の融資姿勢に表れているかを確認する、という観点から大いに注目を集めていた。 中・大規模企業向け融資基準を引き締めていると回答した銀行の割合は46.0%と、前回調査(2023年1月)の44.8%から上昇した(図表1)。ただし増加幅は3四半期連続で縮小しており、懸念されたほどの大幅な上昇とはならなかった。 しかし、2008年のリーマンショック時や2000年のコロナショック時も、融資基準の厳格化がこの調査結果に表れるまで若干の時間がかかったように見受けられる。そのため、3月から続く銀行の破綻
ロシアの通貨 ルーブルは、去年4月以来の水準まで値下がりしました。 欧米企業の撤退などで資本流出が起きるのではないかとの見方が背景にあるという指摘も出ています。 モスクワの外国為替の取り引きでは、7日、ロシアの通貨 ルーブルが一時、1ドル=83ルーブル前後にまで値下がりしました。 これは去年4月以来の安値水準です。 ロシアの有力紙コメルサントは7日、欧米企業の撤退などで資本流出が予想され、経済状況の悪化を背景にルーブル安が進んでいると指摘しています。 また、アメリカの経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、欧米の経済制裁によって石油や天然ガスの収入が減ることで経済が打撃を受けていて、投資家がロシアの資金流出に懸念を抱いているためだと伝えています。 通貨ルーブルは、ウクライナへの軍事侵攻を受けて、去年3月、欧米がロシアに対する経済制裁を発表したことで、一時、1ドル=150ルーブル前後まで急
米国1-3月期成長率は事前予想を下回る 米国商務省が4月27日に発表した1-3月期GDP統計で、実質GDPは前期比年率+1.1%と前期の同+2.6%を大きく下回り、また事前予想の同+2.0%程度も下回った。 ただし、今回のGDP統計からは、米国経済が景気後退に陥った明確な兆候はまだ確認されない。成長率は事前予想を下回ったものの、全体としては米国経済の底堅さを示したものと考えられる。 1-3月期の実質個人消費は前期比年率+3.7%と高い増加率となった。前期に同+1.0%と低めとなったことの反動、という側面が強いが、寄与度は+2.48%と1-3月期の米国経済の最大のけん引役となった。 他方で、企業設備投資は前期比年率+0.7%と低い成長率となり、また、実質住宅投資は前期比年率-4.2%と8四半期連続のマイナスとなった。 成長率の押し下げに最も貢献したのは、実質民間在庫投資である。成長寄与度は前
NRI トップ ナレッジ・インサイト コラム コラム一覧 大きな混乱は回避も銀行システムの脆弱さを再確認させたファースト・リパブリックバンク破綻とJPモルガンによる買収:預金保険制度改革議論も加速 破綻したファースト・リパブリックバンクは金利リスクの管理に失敗 米預金保険公社(FDIC)は5月1日、経営が行き詰っていたファースト・リパブリックバンクの破綻処理を決め、同行を管理下に置いたことを発表した。そのうえで緊急入札を実施し、最終的にJPモルガン・チェースによる買収提案の受け入れを決めたのである。 同行の資産規模は4月13日時点で2,291億ドルであり、全米14位(2022年末)だった。破綻した銀行の資産規模としては、3月のシリコンバレーバンク(SVB)を上回り、2008年のリーマンショック時に破綻したワシントン・ミューチュアル(資産規模約3,070億ドル)に次ぐ史上2番目となった。 フ
ファースト・リパブリック・バンクは予想以上の収益悪化と預金の大量流出 4月25日の米国市場では、3月のシリコンバレーバンク(SVB)の破綻などで表面化した米国の地銀の経営問題が、再び強く意識された。3月以降低迷を続けていた地銀株はこの日大きく下落している。KBW地銀株指数は一時4.3%下落と過去1か月で最も大きく下げ、2020年11月以来の安値水準で引けた。 特に注目されたのは、前日に発表されたファースト・リパブリック・バンク(FRC)の1-3月期決算で、予想以上の収益悪化が確認されたことだ。純利益は前年同期比ー32.9%となった。経営不安による急激な預金流出による利鞘の悪化が背景とみられる。 他方、1-3月期の預金は前期比ー40.8%と大幅に減少した。大手銀行による300億ドルの預金注入という救済策の影響を除けば、預金は前期比ー57.8%とさらに大幅な減少となっていた計算だ。同行の株価は
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