大森 望氏 大森:第三巻の『死神永生』についていくつかうかがいたいと思います。多くの日本の読者は、これから初めて第三部を読むことになりますが、いきなりコンスタンティノープル陥落のシーンからはじまるのでびっくりするのではないかと思います。この時代をオープニングに選んだ理由はあるのでしょうか。 劉:のちの四次元や多次元、地球の衝突という展開の伏線にあたるシーンですね。ローマ帝国、あるいは東ローマ帝国はすごく繁栄した帝国で、長期にわたって存在したにもかかわらず、最終的には滅亡した。そのことを最初に持ってきたかったんです。どんなに長い歴史があったとしても終わりがある。決して永遠なものはないということです。いまの人類の歴史に対するちょっとしたヒントでもありますね。 補足ですが、すべての文学的な題材の中で、SFだけが歴史の終わりをきちんとはっきり書けるのではないかと思っています。SF小説の中で、歴史が