【時代の正体取材班=田崎 基】問題の本質を理解していないのは私自身もそうだった。思慮を欠いた一言一言は、私がセクハラを受ける側ではないという属性に根ざしているのは間違いなかった。 19日朝、財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑について記事を書くため、私は民放の女性ディレクターの携帯電話を鳴らした。 ―セクハラの被害は受けたことはありますか。 「それはね。言い出したら切りがない」 ―ちょっと教えてもらえませんか。 「いいけど。メールで送ります」 ―この電話で話してもらえれば、メモを取ります。 「…」 一瞬の沈黙。答えに詰まった後、返ってきたのは「そんなの恥ずかしい」だった。 同業のよしみという勝手な甘えも手伝って、ぶしつけに証言を強いたことを悔いた。数時間後、送られてきたメールに愕然とした。 〈取材相手に「やろうよ。やらないと相性が分からないじゃん」と言われた〉 〈上司に抱きつかれ下半身を