ロシアのプーチン大統領はウクライナ南部クリミア自治共和国の併合を宣言した18日の演説で、中国指導者による「歴史的、政治的背景への考慮」を評価し、インドの「自制」とあわせて謝意を表明した。対露制裁を強める米欧との間にくさびを打ち込む狙いがあるとみられ、中印両国の今後の動きが注目される。 【北京=矢板明夫】中国外務省の洪磊報道官は19日の定例会見で、ロシアがクリミア自治共和国の併合を決めたことについて、「中国は一貫して各国の主権と領土保全を尊重する。法律と秩序の枠組みのなかで、政治的に解決すべきだ」と述べた。その上で、「各国は冷静さを保ち、対立を激化させる行動は避けるべきだ」とし、対露制裁を実施した欧米諸国を暗に批判した。 中国政府はこれまで、クリミア問題に関して曖昧な立場をとってきた。国内に独立を求めるチベット、ウイグル問題を抱え、「独立」を決めたクリミアのやり方を支持できない事情があるから