13日の外国為替市場で4カ月ぶりの円高水準を記録したことは、東日本大震災で落ち込んだ生産の正常化を急ぐ日本の輸出企業に冷や水を浴びせた。ただでさえ電力不足で生産に制約が生じる中で為替リスクも顕在化したことで、企業の生産・開発拠点の海外流出が加速し、震災復興の足かせとなる恐れもある。 「頭が痛い。1ドル=78、79円台になると、日本国内でのものづくりは非常に難しい状況になる」 この日都内で記者会見したオムロンの山田義仁社長は、急激な円高の進行に表情を曇らせた。自動車、電機メーカーの多くは今期の為替レートを1ドル=80~85円の範囲で想定していたが、市場が心理的な節目とみていた80円をやすやすと突破。各社の対応力を上回るスピードで円高が進んでいることをうかがわせる。 とりわけ苦しいのが自動車業界だ。トヨタ自動車は米国輸出が多く、対ドルで1円円高になると営業利益が300億円吹き飛ぶ。平成23年3