酷暑の季節、一時の涼をとるのに氷は欠かせない。グラスの中に角ばった透明な氷をカランと入れ、飲み物を注いで飲む。氷を細かく欠き砕いてかき氷にし、シロップとともにシャキシャキ頬張る。冷たさが体に直接、伝わってくる。 暑いからと氷を食すのは、いまは当然のこと。だが、気温を氷点下まで下げる技術のなかった時代、夏の氷の価値は格別だったはずだ。実際、歴史の記述には、氷がいかに珍重されたものだったかがうかがえる。
厳しい暑さをほんの一瞬、忘れさせてくれるアイスクリーム。この冷たいデザートを初めて口にしたとされる日本人の1人は、「味は至って甘く、口中に入るるに忽ち溶けて、誠に美味なり。之をアイスクリンといふ」と、その感動を日記に綴った。 記したのは、幕府の遣米使節団に随行していた柳川当清。1860(万延元)年のことである。サンフランシスコに到着した一行は、首都ワシントンに向かうため、アメリカ政府の迎船フィラデルフィア号に乗り込んだ。その船中で、アイスクリームに出合ったのである。 舌の上ですっと溶ける甘い菓子に、どんなにか驚いたことだろう。あまりに美味しかったため、その場にいなかった仲間の分まで持ち帰ろうとアイスを懐紙に包んで懐に入れておいたところ、溶けて服までベトベトになってしまった、なんて笑い話も伝えられている。 それから150年余り。いまでは、夏が来るたびに新商品が発売され、様々なバリエーションを
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