能登半島地震で被害の大きかった石川県珠洲市では、倒壊した民家がそのまま残っていた。奥には観光名所の見附島が見える=3月30日、石川県珠洲市宝立町(撮影・斎藤雅志) ■「まさか地震が…」滞った耐震化 倒壊した家の前に、花が手向けられていた。 能登半島の先端に位置する石川県珠洲(すず)市。幹線道路から外れた一角に、黒い屋根瓦の日本家屋があった。1階は2階に押しつぶされて見えない。 60代の夫婦はここで、自宅の下敷きになって亡くなった。 市内に住むいとこの男性(74)が地震翌日に駆けつけたとき、夫婦はまだ埋まったままだったという。 「名前を呼んでも返事がない。がれきをどけようとしたけど、親戚に『あぶないし、入るな』と止められたんよ」。男性は無念さをにじませる。「古い家なんで、どかんと落ちてくれば死んでしまう」 家の前には、衣装ケースや木片が散乱したまま。あたりはしんと静まりかえっている。元日の地