2021年10月、2022年6月と2回にわたり「人事部大研究」と銘打った調査を実施した。1回目は人事部の管理職が対象、2回目は管理職ではない人事部員を対象にしている。 1回目の調査 は、人事部の実態と戦略人事への取り組み状況を明らかにすることを目的としたものだ。ざっくりまとめると、「定例・定型的な人事労務管理が中心的」な役割だという人事部が約半数を占めており、戦略人事の実現に向けて、人事部門はこれまで以上に経営ボードと事業部門に近い存在になることが求められている。本社人事と部門人事(またはHRBP)の役割分担を明確にすること、そして、戦略人事のインフラとしてHRデータを活用することがカギになりそうだという結果だった。 2回目の調査は、非管理職の人事部員のキャリア意識に焦点を当てている。人事部員は、「事業部門連携」、「従業員支援」、「権限委譲」、「管理職の優秀さ」、「人事部内の連携」の実現度
管理職における組織長と非組織長のボーダーレス化 ■非組織長管理職の増加1960年代から普及を始めた職能資格制度の導入は、昇進と昇格を分離する、つまり職務と資格・賃金を切り離すことを可能にしました。その結果、団塊の世代には多くの部下をもたない非組織長の管理職、いわゆる部下無し管理職が存在していました。さらにここ数年、バブル期入社世代のボリュームゾーンが昇格時期を迎えた上、組織のフラット化による役職・ポスト不足の影響で非組織長の管理職が増大しているため、あらためて「新任管理職」に注目が集まってきています。 企業におけるボリュームゾーンであるこの世代が活躍をしなければ、企業収益の達成、企業活動の存続は立ち行かない状況となります。これまでも創造性やイノベーション追及のために、専門性を磨き高めていくといった要素が求められていましたが、専門性だけでそれらの価値創造を実現することは難しくなりつつあります
ビジネスQ&A 強い組織作り 2023年 1月 18日 「HRM(人的資源管理)」の取り組みに力を入れると、業績の向上が期待できると聞きました。そもそもHRMとはどのような考え方・経営手法なのでしょうか。中小企業の取り組み方などと併せて教えてください。 回答 HRMとは、働く人の仕事に対する意欲向上に会社が積極的に関わることで、それぞれが持っている潜在的な職業能力=HR(人的資源)のうち、まだ仕事に活用されていない潜在能力の発揮あるいは向上を促進していこうとするものです。HRMへの取り組みにより、働く人の勤労意欲や能力開発意欲を向上できれば、企業全体の業績アップも期待できます。 働く人の潜在能力を引き出すHRMが、今日本で注目される理由 HR(Human Resource:人的資源)とは、働く人が持っている潜在的な職業能力を意味します。ただ、いくら高い潜在能力を秘めていても、本人に自分のH
「幸福活躍度」から見る人事の幸せなキャリアとは田中:近年は次から次に、人事に対して新たな課題が押し寄せています。人事の皆さまと仕事をしていて強く感じるのは、もっとも疲れているのは若手でも現場マネジャーでもなく人事の皆さんではないか、ということです。そこで人事部門ではなく「人事パーソン」を対象にした調査研究の必要性を感じ、「シン・人事の大研究」プロジェクトを発足しました。2022年2月に「人事パーソン全国実態調査」を実施。回答いただいた1514名の人事パーソンの皆さまには心より感謝申し上げます。 2022年春の「HRカンファレンス」では第1弾として「学び」編の調査結果を発表しました。今回は第2弾として、「人事パーソンが幸せなキャリアを歩むための働き方・キャリア」について報告します。 前回の調査で報告しましたが、「これからも人事の仕事を続けたいと思いますか」と問いかけたところ、「続けたい」との
せんだって、ある団体の幹部の方々から、あるご依頼を受けました。 ご依頼内容は、 その企業が、外部の目から見ると、どう「見えるのか」? 今後10年何をしていけばいいと、外部の目から見ると「思われるのか」? とのことでした。通常、この手のご依頼はお引き受けできないことも多いのですが、お世話になっている方も内部におり、お引き受けすることにいたしました。 ▼ 会議の冒頭、僕がまっさきに伺ったのは、 「メンバー数の増減」と「メンバーの年齢構成」 でした。 聞けば、メンバー数は伸び悩んでおり、メンバーの内訳は40代ー50代が、その中心になっているとのこと。 このことだけで、もし単調減少が続くのなら、10年後の団体は 平均年齢が50歳ー60歳の、今よりさらに少ないメンバーで運営していくこと が確定です。今現在の兆候が、今後もつづくのであれば・・・ 人口(population)というものは、ある日突然、空
北米を中心とした諸外国では、日本のポテンシャル採用に似た「スキル」重視の採用を行う企業がある。デジタル人材の不足が深刻化するなか、学位や実務経験のない人材も対象にした母集団形成を行い、選考で「スキル」を重視する「スキルベース採用」が、解決策の1つとして注目されている。 米国では、NY州の下院議員が2022年11月に「スキルベース採用推進法案(The Advancing Skills-Based Hiring Act)」を提出した。この法案は、企業がスキルアセスメントを合法的に利用するための技術支援と、そのスキルアセスメントが候補者の職務遂行能力を効果的に測定できるという保証を雇用機会均等委員会(EEOC)が提供するものである。スキルベース採用ではスキルアセスメントを利用する企業が多いが、連邦政府の雇用法と規制が複雑なために、利用を敬遠する企業もある。EEOCがサポートを提供することで、幅広
ホーム ニュース一覧 1年の総括と来年に向けた期待を込めて「人事トレンドワード2022-2023」を発表「テレワーク」、「DX人材」、「人的資本経営」 1年の総括と来年に向けた期待を込めて「人事トレンドワード2022-2023」を発表 「テレワーク」、「DX人材」、「人的資本経営」 トレンドに踊らされるのではなく戦略的に活用できる人事施策を 株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)は、2022-2023年に人事領域において注目される「人事トレンドワード2022-2023」を発表、3大ワードとして「テレワーク」、「DX人材」、「人的資本経営」を選定したことをご報告します。なお、「人事トレンドワード」の発表は、今回が初となります。 近年、人事トレンドは目まぐるしく移り変わっています。「人事トレンドワード」は、人事領域において注目されるワードを選考、発表し、その時
前回は、人的資本の再建に向けて、中間管理職を含むミドル層の役割の重要性を指摘した。ミドル層に求められる役割とはどのようなものだろうか。 経済産業省が発表した「人材版伊藤レポート1.0」および同「2.0」では、「人材は『管理』の対象ではなく、その価値が伸び縮みする『資本』」として扱うことを要請している。同レポートでは、人材を活かし育てるために求められる経営行動を、3つの視点と5つの要素=「3P・5Fモデル」で整理している(図表1)。 本モデルでは、「経営戦略と連動した人材戦略の実行」が最も重要とされている。その実現のために、経営層、特にCHRO(Chief Human Resource Officer、最高人事責任者)の役割が強調されているが、中間管理職の役割、すなわち現場への浸透・実装も重要である。また、管理職でないミドル層にも、その経験値の高さを生かしたリスキリング推進や、多様なメンバー
近年、企業経営における無形資産の重要性が高まり、無形資産の中心である「人的資本」への関心が国際的に高まっている。日本国内においては、2020年に「人材版伊藤レポート」が経済産業省から発表されて以降、関心は集まっていたが、人的資本に関する開示指針が今夏発表されたり、人的資本経営コンソーシアムが開催されるなど、一気に注目度が上がっている。一方で、「人的資本経営」の重要性を否定するわけではないが、やや単語が独り歩きしている印象がある。 「人的資本経営」がホットトピックになっているこの好機に、「人材」に関する課題を俯瞰し直すべきではないか。本連載では、日本企業の「人材」の課題を整理し、「人的資本」の再建に向けて取り組むべきポイントを提案する。 まず、日本企業における「人材」の課題を振り返りたい。 バブル崩壊以降、日本は「失われた10年」が、「20年」「30年」と呼び名を変え続ける低成長環境下にある
2022年の米国企業の採用に見られる傾向を明らかにするため、企業10社の採用責任者や有識者へのインタビューと、企業66社を対象としたサーベイ(インタビュー企業も含む)を実施した。 インタビューやサーベイから見えた企業に共通する課題は、「従業員の大量離職」「採用難」「リモートワーク・リモート採用」であった。本コラムでは、主に従業員の大量離職や採用難という2つの課題の実態把握と、企業の対応策を振り返る。 Great Resignation(大量離職)が多くの企業に影響 従業員が次々に辞めていく「Great Resignation」の影響は、インタビューをした企業でも同様に見られた。6社中5社は、過去半年間で自社の従業員の離職率が上昇し、パンデミック以前の水準を上回ったと回答した。最も多い退職理由は給料面で、ほかには、「研修などキャリア形成の機会が足りない」「昇進のスピードが遅い」「ストレスや疲
~ 優秀な人材育成・定着を目指す ~ 総合人材サービス、パーソルグループのパーソルイノベーション株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:長井 利仁)が提供する、オンライン・パフォーマンス向上支援サービス『hanaseru(ハナセル)』 (https://www.hanaseru.jp/) は、同じくパーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:横道 浩一)と共催で「会社で誰も教えない『部下を理解する技術』~中堅/若手が逃げだす組織の共通点」をテーマに、2022年12月13日(火)にオンラインセミナーを開催します。 ■セミナーについて 今回のセミナーでは、せっかく採用した若手や、経験値が高くスキルのある中堅が辞めてしまう組織の共通点から、具体的な改善点について学びます。組織の活性化にはある程度の人材の入れ替わりが必要ではありますが、社員のエ
2022年4月、新人事制度がスタートしました「人材」は組織において最も重要な経営資源であり、教職員は欠くことのできない大切な財産です。その大切な財産である教職員を生かして育てていくことこそ、帝京大学の持続的成長に直結するものであり、これからの時代の運営基盤となるのです。 教職員一人ひとりが能力を最大限に発揮することができる運営体制を築き、教職員のモチベーション維持向上と、学校法人帝京大学に所属する全職種の「働きがいの向上」「能力の向上」「誠実な処遇の実現」をめざします。 帝京大学の職員としての役割新人事制度では教職員の役割を「建学の精神の追求」+「期待役割の遂行」としています。 建学の精神の追求 行動理念 帝京大学とともに、「ひたすらの道」を歩み続ける 帝京大学の一員として、自らなすべきことを自問自答しながら、弛まぬ努力を続け、建学の精神に込められた思いを追求していく。 努力を全ての基とし
スマカン株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:唐沢雄三郎、以下「当社」)は、学校法人帝京大学(以下「帝京大学」)において当社サービスの「スマカン」が導入されたことをお知らせいたします。 導入概要 従来帝京大学では、教職員の人事評価において一律的な評価と報酬の配分になることが多く、特に優秀な人材のモチベーションの維持・向上が課題となっておりました。そこで教職員の適正な人事評価を実現し、能力や働きがいの向上を目的とした新たな人事制度を運用することとなり、かねてより人事評価システムの導入を検討されていました。 検討の結果、課題解決と新人事制度の運用を支え、カスタマイズ性や機能面でニーズに見合うシステムとして、この度「スマカン」を選定いただきました。 「スマカン」の導入後は煩雑な人事業務が効率化され、採用管理システムとの統合や発令機能の改善といったデータ連携により事務処理の効率化と合理化が進め
人材戦略の達成度合・実行進捗を表す指標の設定・モニタリングとステークホルダーへの戦略的な情報開示を企業価値の向上につながるエンゲージメントの獲得に寄与 企業価値を左右する重要因子が有形資本から非財務領域である無形資本へとシフトするなか、「人的資本経営」の重要性が高まり、企業は人材を企業価値の決定因子ないしは競争力と捉え、重要な経営アジェンダとして戦略的に人的資本に投資していくことが求められています。人的資本経営の推進には、「実践」を伴う人事戦略の策定やそれを実行するための基盤を整備した上で、企業経営を構成する多様なステークホルダーとの対話を適切に実施し情報の「開示」を戦略的に行うことが重要です。 アビームコンサルティングは、人材戦略の達成度や進捗を定量的に表す指標を投資家や従業員をはじめとした各種ステークホルダーへ戦略的に情報開示し、適切なエンゲージメントの獲得に向けた戦略・施策の策定を支
スキル重視採用のインタビューでは、デビッド・クリールマン氏に企業や有識者のインタビューに協力いただいた。一連のインタビューを通じて、クリールマン氏の視点から北米企業におけるスキル評価の取り組みの現状や、採用選考プロセスの未来について語ってもらった。 【クリールマン氏プロフィール】 Hay Group、HR.comを経て、2003年にCreelman Researchを設立。カナダ・トロントを拠点に国内外で人事関連の調査やコンサルティングを提供する。近年の関心領域はアナリティクスやテクノロジー。最新の著書は『Management for scientists and engineers: Why managing is still hard & if it will get better』(2021年)。 北米企業がスキルベース採用に関心を持つようになったのは、デジタル人材の不足による採用難
本コラム連載では、企業のスキルを重視した採用について10社の事例を紹介した。取材企業の多くは、アセスメントツールと技術面接を併用していた。今回は、アセスメントの専門家の視点から、ミネソタ大学産業組織心理学教授のリチャード・N・ランダース氏に、コーディングスキルを測るアセスメントツールの特長と有効性、今後の可能性について聞いた。ランダース氏は、企業と協働して、先進技術を用いたアセスメント開発に取り組んでいる。 【ランダース氏プロフィール】 研究領域はアセスメントや従業員選抜、大人の学びなどにおけるテクノロジー活用。また、自身が設立したLanders Workforce Science LLCは、国内外の企業へAIやコンピューター・ビジョン(※)、自然言語処理などを活用した採用アセスメントの監査およびコンサルティングを提供している。過去の顧客にはジョンソン・エンド・ジョンソン、金融サービス会社
いまは新しい成長のために、そして特に大手企業では、成熟・衰退期における経営変革のための人事戦略が必要なときだ。 「○○社、全社員をDX人財へと育成!」の裏にありそうな実態 昨今、新聞やビジネス誌などの紙面では「全社員をDX人財へ育成」「ジョブ型人事制度導入」「一芸人材採用」といった、人事に関する積極的な取組みの言葉が躍るのが目を引く。 日立製作所は2021年からジョブ型人事制度の運用を開始し、サッポロホールディングスグループでは2022年3月から全社員4000人を対象としたDX人財化の取り組みが始まるなど、バブル期以降の停滞の30年には見られなかった動きが、今 日系大手企業の人事機能領域で起きつつあるようだ。 だが、こうした記事に共通していえるのは、必要ではあるがはやり言葉に踊らされ、施策の必要性や、目的、その施策から期待される効果がどれだけ自社の企業価値の向上に連動しているのかの検討がお
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