激しい戦闘が続くシリアから、欧州へ多くの難民が押し寄せている。これまでに、日本にも約60人がたどり着いて難民申請をしているが、認められる例はごく少ない。何のつてもなく来日し、難民認定を求めているシリア人一家を訪ねた。 さいたま市の古い民家の1階を借りて、クルド民族のジュディ・ユセフさん(31)は、妻ファルハさん(29)、長女(5)、長男(3)と暮らす。2012年に逃れてきて以来、日本政府に難民と認めてくれるよう求め続けている。 今年1月に母国から呼び寄せた妻と子どもは日本語が出来ず、自宅からほとんど出ない日々を送っている。母国で近所の人たちとおしゃべりするのが大好きだった妻は、笑うことが少なくなり、ふさぎ込むようになった。子どもたちはいまも、夫婦の会話で「警察」や「軍隊」という言葉を耳にすると、小さな肩をビクッとさせる。 一家は、トルコ国境に近い町カミシリに住んでいた。11年、民主化運動「