本稿では、『校本萬葉集』の使い方を説明します。 萬葉集を学び始めると、いつか『校本萬葉集』と対峙するときが来るでしょう。しかし、使い方がよくわからないと言う人も多いのではないでしょうか。 実際私が行った大学の上代の先生は『校本萬葉集』を全く使わない先生で、個人的に中古文学の先生から「これは古今伝授だ」と言われて教わりました。ところが教えてもらった方法は表面的なことで、細かな事柄については先生も把握していないようでした。 そもそも、使い方を説明してくれている本やサイトを見つけることができず、当時はその環境の中で頑張る他ありませんでした。 今思えば、使い方は首巻に書いてあるのです。ただこの使い方や基礎知識だけで一冊以上を成す量ですから、読むだけでも大変です。 萬葉集を専攻していても読むことを躊躇するレベルなわけですが、けっして上代文学専攻だけが必要なわけではありません。 萬葉集が後世に与えた影
政府が「平成」に代わる新元号の候補案として1日の「元号に関する懇談会」などに提示した六つの原案に、新元号に決定した「令和(れいわ)」のほか、「英弘(えいこう)」「久化(きゅうか)」「広至(こうし)」「万和(ばんな)」「万保(ばんぽう)」の5案があった。政府関係者が2日、明らかにした。 【写真特集】新元号発表の歴史的一日、写真で振り返る 関係者によると、「英弘」の出典は国書。「広至」は中国最古の詩集「詩経」からの引用で、国書にも典拠がある。「万和」は中国の詩文集「文選(もんぜん)」ともう一つの漢籍にも典拠がある。「万保」も漢籍が出典という。六つの案のうち3案は漢籍、3案は国書を出典としている。複数の関係者によると、国書は「令和」の出典となった万葉集のほか、日本書紀、さらに古事記もあるという。 政府は、3月14日付で学識者に新元号の考案を正式に委嘱。候補案を6案に絞り込み、1日の有識者9人によ
『万葉集』には定訓を持たない歌がある。その中で最も有名な難訓歌が、額田王の九番歌だ。伊丹末雄の『万葉集難訓歌考』に「古来あまりにも名高い難訓歌で、千年に及ぶ幾多の学者の精密真摯なる研究にもかかわらず、今なお依然として明確には読み解けない」とあるように、大きな謎を残したまま今日に至っている。しかし、謎が深いほど解きたくなるのが人の性。千年以上の間、『万葉集』の巻一、早くも九番目にぶつかるこの歌は、突破したくても出来ない壁のような存在となっている。 九番歌は次のような題詞を持つ。 幸于紀温泉之時額田王作歌 これは「紀温泉に幸(いでまし)し時、額田王の作れる歌」と訓む。斉明天皇の紀温泉行幸の際、額田王が作った歌であることを伝えるものだ。次に、肝心の歌を記す。 莫囂圓隣之 大相七兄爪湯気 吾瀬子之 射立為兼 五可新何本 これが俗に「莫囂圓隣歌(ばくごうえんりんか。莫囂円隣歌とも書く)」と呼ばれる謎
行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。 からはじまる鴨長明『方丈記』はひろく知られている日本語の古典文学の随一だろう。この文章の出典が、東洋の聖書とも称される超有名な初期仏教経典、『法句経』の一節から取られているということをご存じだろうか? 私はこの説を佐竹昭広『萬葉集再読asin:4582352316』ではじめて知った。 万葉集再読 作者: 佐竹昭広出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2003/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 佐竹氏が校注を担当された岩波新日本古典文学大系『方丈記 徒然草asin:4002400395』では、「ユク河ノナガレハ、絶エズシテ、シカモモトノ水ニアラズ。」に次の註が添えられている。 往く川の流れは瞬時も留ることなく
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