インタビュー3 能のテキストを読み、舞台に立ち上げて見えてくること──原点としての「橋の会」第1期(1980-82) 松岡心平(東京大学名誉教授) 「橋の会」のはじまり ──まずは、松岡先生がどういうきっかけで能の舞台の現場に関わるようになったのか、というお話からお伺いしたいと思います。 私が能楽舞台の現場と関わるようになったのは、「橋の会」の運営委員になったことがきっかけでした。そのきっかけはほとんど偶然みたいなもので、荻原逹子さんという有名なプロデューサーで銕仙会の事務局長のようなことをやっていた方が、観世寿夫亡き後、どういう活動をしていったらいいかということを模索するなかで、「若い人を集めて何かやろうじゃないの」という話になり、4人のメンバーを集めたんです。その4人というのが、土屋惠一郎さん、松本小四郎さん、鴻英良さん、そして私でした。どういうわけかよくわかりませんが、どうも荻原さん