吉岡実『魚藍』(深夜叢書社、一九七三年八月二八日、装幀=橋本真理、限定八百部)を頂戴した。深謝です。吉岡による「後書」にいわく 《神田の珈琲ハウスで、私は斎藤慎爾と会った。二、三回目であったが、独りで深夜叢書社をやっているこの青年(彼のみでなくそのような人たち)に、私はいつも畏敬の念を持っている。長い雑談のあと、《魚藍》を出版したいといわれ、私は当惑した。 いまさら一冊の本にするようなものではないと思ったからだ。しかし彼は執心し、そして同席していた橋本真理が装幀・造本を引受け、二人で美しい本をつくるからと云った。「すきなようにしてくれ」ーー私はすこしもタッチしないことにした。だから、これは二人がつくってくれたものである。》