「音楽」の辞書的定義は一つでも、「音楽」への接し方は人によって様々である。音楽にどのような価値を見出すのか、音楽にどのくらいの距離感で接するのか、音楽をどのようなカリキュラムで学ぶのか、音楽以外にどのような分野の知識や見識を持っているのか、音楽を通してどのように人や社会と繋がるのか・・・。それによって、各々の「音楽」に関わるコンテクストが存在するはずである。そのコンテクストは、近年ますます多様化しているようだ。それは音楽が文化として広く根づいてきた証ともいえるだろう。今回はその一例として、アメリカの高等教育機関における音楽教育のあり方を取材した。 アメリカでは日本と異なり音楽単科大学は少なく、音楽の専門教育は全米各地にある音楽院にて行われている。中でもカーティス音楽院、ジュリアード音楽院、イーストマン音楽院等はトップ校として知られている。一方、総合大学にもほぼ必ずといってよいほど音楽学科あ