組織が創造的になれない原因は、アイデアの不足ではなく、すでに存在するアイデアを認識できないことかもしれない。人は独創性に対して負の偏見を持ってしまうからだ。本記事ではその解決法として、アイデアの発掘を巧みに制度化した企業の事例を紹介する。本誌2014年11月号の特集「創造性vs.生産性」関連記事。 「我々にはもっとアイデアが必要だ」――企業はイノベーションの取り組みを拡大しようとする時、たいていこの前提から入るようだ。実現可能な新製品や新システムにつながるアイデアを見出すべく、「既存の枠組みにとらわれない考え」や、「非現実的な発想」をすべきだという話から始める。だが、ほとんどの企業にとって、イノベーションを妨げているのはアイデア不足ではない。すでにある優れたアイデアに気づかないことなのだ。つまり、イノベーションはアイデアの問題ではなく、気づきの問題である。 歴史上のよく知られた事例を振り返