アフリカからの一行を乗せた観光バスが、上海市内のホテルに入ってきた。予定時刻をだいぶ過ぎての到着だった。案の定、バスから降りてきた彼らの顔は、みな一様に疲れ切っていた。 「朝9時に杭州を出発、それから観光、買い物とあちこち回った。おまけにひどい交通渋滞ですっかり疲れた」とメンバーの1人は言う。 別のメンバーは「移動中は常に監視を受け、檻の中の動物みたいで嫌だった」と嘆く。どうやら脱走の懸念も持たれていたようである。その上「8時間の時差が解消されていない」と機嫌が悪い。 至れり尽くせりの「研修」ツアー 疲労困憊の表情を見せるアフリカ人たちは、実は単なる物見遊山の観光客ではない。このツアーは政治的に仕組まれたツアーである。ツアー参加者は、アフリカ各国から派遣されたばかりの「研修生」なのだ。時差ボケ覚めやらぬ彼らをあちこち連れて回るのは、「中国の発展はすごいだろう!」と見せつけるツアー主催者の意