3月に性犯罪事件で1審無罪判決が4件あったことから、性被害に対する処罰のあり方がクローズアップされています。 この問題を考えるにあたって、忘れてはならないことがいくつかあります。 第一に、裁判では有罪立証は検察の責任である、という刑事司法の原則です。メディアでも裁判所批判の声は紹介されていますが、この問題に関する議論では、なぜか各事件での検察の捜査・立証は適正かつ十分なものだったか、という点がまるで抜けています。 第二に、日本の刑事司法では圧倒的に有罪率が高いという事実。これは性犯罪被害でも同じです。最新の司法統計(2017年)から、1審の有罪率を計算してみると、刑事事件全体で99.8%。性的な犯罪(統計の項目は「わいせつ、強制性交等及び重婚の罪」)でも、有罪率は99.5%で、同年の無罪判決は7件にとどまります。裁判で被告人が無罪を主張すればバンバン無罪判決が出る、という状況ではありません