■国の根幹、前例ない議論 天皇陛下が8日、「生前退位」のご意向を示されたことを受け、政府は天皇陛下「一代限り」の特別立法や法改正を含むあらゆる選択肢を検討し、陛下のお気持ちを最大限尊重する方向で対応する。「静かな雰囲気」(政府筋)で検討を進めるため、当面は有識者会議の形を取らず、幅広い識者からヒアリングを重ねながら慎重に論点を詰めていく考えだ。ただ、生前退位に関する議論は前例がなく、安倍晋三政権は重い課題を背負うことになった。(田北真樹子、大島真生) 陛下がお気持ちを示された後の政府反応はいずれも具体性を欠く表現にとどまっている。これは憲法4条が「天皇は国政に関する権能を有しない」としているためだ。政府としては、陛下のご意向に直接的に従うのではなく、一呼吸置き世論の動向を見極めた上で、政府主導で対応を打ち出す体裁を取る必要があった。 官邸は事前に宮内庁と陛下が読み上げられるお言葉を調