文部科学省は2024年度から、次世代の人工知能(AI)開発などに携わるトップ人材への経済支援を始める。若手研究者に年2000万円、大学院生に年600万円を支給する制度を設ける。国際競争が激化するなか、厚待遇で国内へのつなぎ留めを図る。政府は24年度から研究に使う生成AIの基盤モデルを開発する方針だ。米国も5月に開発計画を発表するなど国家間で競争が始まっている。文科省関係者は「海外に人材が流出し
――米国や中国に比べ、日本は人工知能開発で遅れているといわれています。なぜ日本はこの競争に負けているのでしょうか。 松尾さん それは、日本がインターネットで世界に負けた理由と似ているのではないでしょうか。 一つは、技術の取り入れ方が非常に遅い点。1990年代後半には若者たちが「これからはネットの時代だ!」と言っていたのに、上の年代の人たちが理解しませんでした。「信用できない」「オタクが使うだけ」と否定し、新しいものが生まれなかった。 今もそれは同じです。一口にAI、人工知能といっても、新しい技術の中心であるディープラーニングに対して、従来の分野へのこだわりが強く、拒否感が強い人も大勢います。 もう一つは、若い人が力を持っていない点。若い人が自分の裁量で自在に動けるような社会環境になっていません。彼らに裁量を与えて何かやらせれば絶対に何か起こるんですけど、それをやらせないから変化が起こらない
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