子宮頸(けい)がんを予防する「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」について国の積極的な勧奨中止が続く中、ワクチン接種の存在すら知らない人も増え、将来的に患者が増えかねないという危機感が自治体で高まっている。HPVワクチン接種は公費で賄われる「定期接種」で、国は接種を進めたいのか進めたくないのか、態度が煮え切らない。一部自治体では事態打開のため、家庭に定期接種であることを通知する独自の動きも進んでいる。 子宮頸がんは性交渉による感染が原因で女性が罹患(りかん)する。HPVワクチンは性交渉を始める前段階の接種で、より予防効果が期待できるとされ、国は平成22年度に公費助成を始め、25年4月には小学6年~高校1年相当の女子を対象に計3回行える定期接種とした。 しかし、ワクチン接種者から体の痛みなどの「健康被害報告」が相次いだことから、同年6月には接種の積極的な勧奨を中止。健康被害との因果関係