三重大学准教授 勝川 俊雄 今年11月に国際自然保護連合がレッドリストを改訂し、新たに日本近海に生息する太平洋クロマグロを絶滅危惧種に指定しました。レッドリストは関係諸国に保全の必要性を示すのが目的であり、指定されたからといって、ただちに強制的な規制がかかるわけではありませんが、関係諸国が連携して、保全措置を執ることが強くもとめられています。また、クロマグロの大半を消費する日本には、世界から厳しい目が向けられています。 1950年代には、4万トンあった漁獲量は、現在は1万5千トンまで落ち込んでいます。国別に見ると、最も漁獲が多いのが日本で、その次にメキシコです。台湾、韓国、アメリカ合衆国も漁獲をしているのですが、その量は微々たるものです。クロマグロ漁業には、未成魚中心の漁獲、産卵場での集中漁獲、規制の欠如という、解決すべき3つの問題点があります。 まずは未成魚中心の漁獲についてです。