「声」は多くのことを教えてくれる。 その人が信頼できる人間か、それとも嘘をついているか。 心から楽しんでいるか、あるいは不安を感じているか。 どんなに表面を取り繕ったとしても、「声」だけはごまかすことができない。 長くラジオの仕事に携わっているとそのことが経験的にわかる。 「声」にはその人の本当の姿が現れるのだ。 1988年8月から翌年の6月にかけて、埼玉と東京で相次いで幼い女の子が誘拐され、殺害される事件が起きた。犯人は「今田勇子」を名乗り、「犯行声明」や「告白文」を遺族やメディアに送りつけ、事件は劇場型犯罪の様相を帯びた。また被害女児の遺体を切断し遺棄するという残虐な手口は世間を震撼させた。 だが逮捕された犯人は、一見残忍そうには見えない色白で小太りの男だった。男の名は宮崎勤(当時26歳)。昭和から平成へと時代が変わるタイミングで日本中を恐怖に陥れた凶悪犯は、なんとも冴えない風貌の男だ