人口減少は、財政/社会保障や地域社会に深刻な問題を生み出している。しかし人口が減るから日本経済は成長できない、よくてゼロ成長だろうといった主張は間違っている。先進国の経済成長は主として一人当たりの所得の上昇によるのであり、それをもたらすのはイノベーションだからだ。この講演では、こうした観点から日本経済の現状、そして将来について考える。 人口と経済・社会の関係は多様で、歴史を振り返ると人口が多過ぎるといわれた時代がこれまで何度もありました。戦前の日本も人口が多過ぎるとされ、日本が旧満州に入植した背景にはそうした事情もありました。地球全体を見ても、現在は人口が多過ぎます。国際連合もグローバルな問題として認識しています。ですから、人口減少は先進国のみが抱える問題であることを、まずは認識しておく必要があります。 その上でお話しすると、日本では100年後の22世紀初頭までの人口推計が出ていて、出生率