各党のマニフェストが出揃ったが、年金政策については、各党の案いずれも、無年金・低所得者対策の観点から、一定額の年金額を保障するという「最低保障」という考え方が盛り込まれている。しかし、どのように最低保障を行うかについては、意見が相違している。また、最低保障の財源は必然的に税となるが、その手当てについては必ずしも明確ではない。以下では、年金制度の基本的な問題を整理するとともに、各党のマニフェストの年金改革案をレビューする。 1.はじめに世界の公的年金制度は、大きく分けると、社会保険モデル(social insurance model)と国民皆年金モデル(universal model)の2つに分類できる。前者は、個人が納めた保険料に応じて給付を行うもので、アメリカ、ドイツ、フランスなどが代表例である。後者は、保険料ではなく、その国における居住年数に応じて給付を行うもので、カナダ、オースト