戦後ニッポンの高度成長期を支えた巨象が、足元から揺らぎ出した。モノづくりの底が抜けたかのような失態が止まらず、次々に損失計上する事態に――。図体はでかい。倒れれば被害は甚大だ。 4月26日午後3時。 この日の株式マーケットが閉じようとしたその瞬間、東京証券取引所が運営する情報伝達システム上に三菱重工業をめぐる情報が映し出されると、市場関係者に衝撃が走った。 この1年で、営業利益が半減した――。 三菱重工が投資家向けに開示した財務資料には、そんな実態が記されていたのである。 三菱重工がこれまで投資家に開示してきた各種資料によれば、1年前の2016年5月段階では、'17年3月期に〈3500億円〉の営業利益を確保するとの見通しを示し、これは〈キャッシュフローやバランスシートの状況、受注残工事の質などから、達成可能〉と胸を張っていた。 '16年3月期の営業利益が3095億円だったことを考えれば、1