外科医になって35年。鍛錬に鍛錬を重ね、いつしか「神の手をもつ男」と呼ばれるまでになった。その両手で目の前の患者を救うだけではなく、新しい手術に挑戦し、自ら考案した手術を世界に広め、さらに手術の改良を重ね、成功率と生存率を高めてきた。そんな須磨氏だからこそ頼ってくる患者は絶えることはなく、限界までそのすべてに応えようとしている。須磨氏を駆り立てるものは何なのか。須磨氏にとって外科医という仕事とは何か、何のために働くのか──。 外科医は手術をするのが仕事です。だからほとんどの外科医は人の体を切って当たり前だと思ってますよ。切るのが自分の仕事だと。だけど、人の体に傷をつけても監獄に放り込まれずにお給料をもらえて、さらに切られた人からありがとうと感謝される。こんな仕事、ほかにないですよ。だからこそ、すべての外科医はどうしてこういう特殊なことが自分に許されているのかということを常に自覚する必要があ