文部科学省から早稲田大学への天下りが発覚した問題で、内閣府の監視委員会は、組織的なあっせん行為があったと明らかにした。天下りはなぜまだ起きているのか、問題の本質は何だろうか。 10年ほど前、筆者は第1次安倍晋三政権で官邸勤務の内閣参事官として、天下りを是正する国家公務員法改正の企画立案を担当した。そのポイントは、国家公務員の再就職について、役所の斡旋(あっせん)を禁止したことと、それを監視する「再就職等監視委員会」の設立だ。 一般に、いわゆる天下りは好ましくないというが、実は公務員の再就職を禁止することは憲法上許されない。実際のところ、天下りの何がまずいかというと、権限を持つ役所が斡旋するため、民間企業や大学などが天下りを受け入れざるを得なくなることだ。そこで、役所の介入・斡旋を除けば、天下りの弊害がかなり少なくなるという判断で、斡旋禁止条項を設けた。そして、役所の斡旋活動を監視するために