安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の大方針となる「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」の策定作業が本格化してきた。今年の目玉は教育費の無償化や大学改革といった人材への投資。実現には数兆円単位の巨額財源が必要とされ、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の2020年度の黒字化目標をにらんだ首相官邸の狙いが浮かび上がる。すべてはこの演説に込められていた。「高等教育もまた全ての国民に真に開か
教育を無償にする議論が政権内で本格化してきた。安倍晋三首相が改憲項目として検討する考えを示したこともあり、自民党の文教族を中心に実現をめざす動きが強まっている。だが、無償化の対象や財源をめぐって意見が割れており、実現の道筋は見えない。 「(教育)無償化ということを(憲法に)書くには担保が必要。党内でしっかり議論していきたい」 自民党の下村博文幹事長代行は12日の記者会見でこう述べ、教育無償化の具体案をめぐる議論を加速させる考えを示した。 すでに、下村氏ら文部科学相の経験者を中心に党内に「特命チーム」を発足。2月から無償化の対象や財源を検討している。今月中にも提言をまとめ、政府の「骨太の方針」に盛り込むよう申し入れる考えだ。 大学や専門学校などの高等教育から小学校入学前の幼児教育までの無償化や大幅な負担軽減を検討しているが、最大のハードルが財源だ。文科省の試算では年間4兆円超の財源が必要にな
5月10日、財務省(写真)は、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、高等教育の無償化案に関する論点を示した。2011年8月撮影(2017年 ロイター/Yuriko Nakao) [東京 10日 ロイター] - 財務省は10日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、高等教育の無償化案に関する論点を示した。高等教育が生涯賃金の上昇という「個人の私的利益」につながることから、公費負担拡大による無償化には懐疑的だ。 分科会は今月中に意見書を取りまとめ、政府が6月に策定する経済財政運営の基本指針に反映させたい考え。 高等教育の完全無償化には約3.1兆円が必要とされる。同日の分科会では、自民党の一部で浮上した「教育国債」について否定的な意見が多く出た。若手議員らが提案する「こども保険」についての議論はなかったという。 高卒者と大学・大学院卒者では「生涯所得が6000─7000万円異
進次郎発言のズルいところ 教育無償化について、維新の党が「憲法を改正して実現させよう」と問題提起したら、自民党・公明党でも本格的な検討が行われるようになった。自民党内の動向はどうなのか。 3月29日、自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」(小泉進次郎小委員長代行、村井英樹事務局長)は、幼児教育無償化の財源を保険料で賄う「こども保険」を提唱した。さすがの小泉進次郎氏、発信力は大きく、これは多方面で話題になった。 この問題は、小泉氏も含めた教育再生本部の「恒久的な教育財源確保に関する特命チーム」で検討されることとなっている。 確かに小泉氏の発信力はたいしたものであるが、「保険」というのは詐称に近い話だ。政治家たるもの、言葉をもっと大切にしたほうがいい。学生時代に「保険数理」を勉強した筆者からみれば、これは保険でないものを保険といっているようにしか見えないのだ。 まず「保険」の意味をは
自民党は、大学などの高等教育の授業料を無償化した場合の財源として、使い道を教育政策に限定する「教育国債」発行の検討に着手する方針を決めた。 近く、総裁直属の「教育再生実行本部」(桜田義孝本部長)にプロジェクトチーム(PT)を設置する。政府の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)への明記を目指し、5月頃までに中間報告をまとめる方針だが、党内には異論もある。 高等教育の無償化は、安倍首相が検討に前向きな姿勢を示している。1月20日の施政方針演説では「憲法が普通教育の無償化を定め、義務教育制度がスタートした。高等教育も全ての国民に真に開かれたものでなければならない」と述べた。 高等教育の無償化は、憲法改正項目としても浮上している。日本維新の会が幼児教育から高等教育までの無償化を憲法に明記する改憲を主張しており、自民党としては、財源の検討に着手することで、改憲論議を加速させる狙いもある。
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