2015年4月、日本でこれまでグルジアと呼ばれていた国の外名(※)は法改正によってジョージアに改められた。このジョージアを舞台にした映画が現在2本同時公開されている。アブハジア紛争や南オセチア紛争等で戦火の絶えないこの国での農業を描いた「みかんの丘」と「とうもろこしの島」がそれである。 ※外名:日本の外名はJapanなど。 民族問題の“マトリョーシカ構造” 図1 ジョージアとアブハジアの位置関係 まずこの2作を理解する一助として時代背景としてのアブハジア紛争について述べておく(図1)。1980年代後半から1990年代前半にかけてのソ連のゴルバチョフ政権によるペレストロイカ(改革)、東西冷戦の終結からソ連崩壊に至る流れの中で連邦を構成する各共和国で独立の気運が高まりジョージアも1991年に独立した。 ジョージアは黒海の東北岸に位置しジョージア人が多く住むアブハジアも領土にしようとしたが、この