医学の地平線 第35号 Contingency tableは分割表では無い 英国エコノミスト編集部による「2050年の世界」という、約40年後を予測する本が話題になっている。日本で最も注目されているのは以下の記述である。「2010年に全世界GDPの5.8%を占めた日本のGDPは、2050年には1.9%になる 。日本の一人当たりGDPは米国や韓国の半分になる 」。確かに、現在の傾向が継続し、日本が何の対策も取らなければそうなるかもしれない。どのような対策が可能であろうか。 私が注目するのは同書の次の予測である。「次なる科学は生物学である。化学は知的学問として枯渇した。物理学にも期待は持てない 。」この記述は化学、物理学を専攻する研究者にとってはショックであろうが、私は真実の可能性が高いと思う。物理学や化学は生物学に比べれば詳細な観察が比較的容易であり、複雑怪奇な生物に比較すれば洗練された科学