1900年から1942年まで東京で発行されていた女性週刊誌『婦女新聞』の1906年5月14、21日の上下2回にわたって連載されたコラム「朝鮮婦人の交際振り」を旧知のファッション研究者、井上雅人さんが送ってくれた。1906年といえば、1876年の日朝修好条規締結以来、朝鮮への影響力拡大をはかっていた日本が、朝鮮の権益をめぐる日清戦争、日露戦争に相次いで勝利しつつ、1904年には第1次日韓協約、1905年には第2次日韓協約を通じて朝鮮を保護国化し、1910年の日韓併合を目前にしていた時期である。 コラムは、朝鮮を訪れた上流階級の日本人女性による雑感だ。時代を反映してか全体として、「朝鮮といふ國は穢(むさ)い國です。そして人民は呑氣な人民です」だの、「汚(むさ)くるしい」だの、「貧乏國の気の毒さ」だのと、散々な書きっぷりである。交流してきた上流階級の朝鮮女性たちに関しても「傲慢」だの「負け惜みが