デザイン思考をインストールするために「必要なマインドセット」と「やめるべき習慣」とは btrax主催「DESIGN for Innovation2017~デザインが経営を加速させる~」セミナーレポート Vol.2 2017年5月24日(火)に行われた「DESIGN for Innovation2017~デザインが経営を加速させる~」。今年で2回目の開催となる同イベントは、ビジネスにおけるデザインの重要性を考えるカンファレンスだ。「アメリカ西海岸流デザインの力でイノベーションを生み出す方法」と題されたセッションは、モデレーターであるbtrax, Incのファウンダー兼CEO Brandon K.Hillによって実現した夢のコラボレーションだ。セッションには、世界有数のデザインコンサルティングファームPivotal、IDEO 、Frog Designから3人のスピーカーが集い、パネルディスカッ
坂井直樹さんは1980年代から、さまざまなヒット商品、そしてデザインを生み出してきたコンセプター。単にうわべだけをデザインするのではなく、商品の哲学、世界観、その全てを戦略的に体系付けて、クライアントも含めたチーム全体をモチベートしてきました。「コンセプト」という言葉をメジャーにした先駆者でもあります。また、電通の倉成英俊さんがリーダーを務める電通総研 B チームは、私的活動/趣味/大学の専攻/前職などを通じて、一芸に秀でた40人の社員を束ねたシンクタンク。2014 年7月の発足以降、独自のリサーチを通じて開発した新しいコンセプトを 『Forbes』など で発表し、2年で50以上のプロジェクトをコンサルティングしてきた集団です。今回、その両者が話すのは「コンセプトを輸入するな! 他人のコンセプトを簡単に引用するな!」というアンチコンセプト流用。つまり「アンチ・デザインシンキング」です。つい
今回、シリコンバレーでスタートアップを育成するRocketSpace、 HAX 、WeWork、 Plug and Play Tech Centerと、シリコンバレーで起業し、今や世界最大のホテル企業となり大成功したAirbnb、そしてドイツ出身のソフトウエア巨人であるSAPが新たな事業変革の拠点として大成功を収めたシリコンバレーの研究所を訪問して、その全てに共通したワークスタイルを見出すことが出来た。 これまでアメリカ企業の、どの職場でも見られた個室やパーティションが、どこにもない。職場は仕切られていなく、遠くまで見渡せるオープンな空間である。屋根がガラス張りの職場では、カルフォルニア特有の強い日差しを避けるために机の上に日傘をさしている。古い建物をリノベーションしているので、天井がなく配管がむき出しで見え、壁も清潔だが質素な塗装で、やたら落書きや張り紙が多い。机と椅子は勝手な向きに並べ
IDEOトム・ケリー氏が語る、東京がシリコンバレーを“目指してはいけない”理由 特別鼎談:IDEOトム・ケリー氏 × 入山章栄氏 × 佐宗邦威 氏 後編 入山章栄氏と佐宗邦威氏がイノベーションとクリエイティビティを包括的にとらえようとする本連載。今回は、「世界で最もイノベーティブな会社」に選ばれたグローバルなデザインコンサルティング会社「IDEO」のパートナーであり、ベストセラー『発想する会社!』『イノベーションの達人!』『クリエイティブ・マインドセット』の著者としても知られるトム・ケリー氏だ。特別鼎談のラストとなる後編では、日本の都市が、どのような「クリエイティブな都市」を目指すのか、そして、そのイノベーションを起こすクリエイティビティの原動力とは何か。その原動力は、日本の大企業にイノベーションを起こすことへのヒントとなりうるのかまで、特別鼎談は発展した。 「外資系企業の日本支社を東京で
前回まで三回に渡ってお送りしたように、フロー理論の提唱者であるポジティブ心理学の世界的権威チクセントミハイ氏を囲んでの鼎談では、クリエイティビティとイノベーションについて多くのヒントが与えられた。興奮冷めやらぬ様子の入山章栄氏と佐宗邦威氏は、そこから何を気づき、どう考察したのか。チクセントミハイ氏の知見を日本人に示唆があるように「咀嚼」する、緊急対談を行ってもらった。今回はその前編をお送りする。 チクセントミハイ博士との鼎談はこちらから(前編・中編・後編) 個人に見る「身体知」としてのクリエイティビティ 入山(早稲田大学ビジネススクール准教授): いやあ、チクセントミハイ教授との対談、むちゃくちゃ面白かったですね。 佐宗(米デザインスクールの留学記ブログ「D school留学記~デザインとビジネスの交差点」著者: 面白かったですねえ。入山さんの一番の収穫は何でしたか。 入山: そうですね、
“ユーザーファースト”を表明するヤフーは、社内教育の一環としてデザイン・シンキングのトレーニングを実施中だ。社内の各部門でデザイン・シンキングを推進するコアメンバーを育成し、新しいネットサービスを開発する際はデザイン・シンキングの考え方で進めている。タブレットを使った新ビジネスなど、既に多くの実績が出てきている。 全社を挙げてデザイン・シンキングによる新しいネットサービスの創造に取り組んでいる企業の1つがヤフーである。2013年夏から希望者に向けてデザイン・シンキングのワークショップを開催し、社内の各部門でデザイン・シンキングを推進するコアメンバーを育成している。社内で新しいネットサービスを開発する際には、コアメンバーがデザイン・シンキングの導入をサポート。開発中の案件や実際に稼働したネットサービスなど、既に10 件ほどのプロジェクトでデザイン・シンキングを活用している。 「デザイン・シン
最近のシリコンバレーでは、デザインへの関心が高くなっている。 スマートフォンのアプリは、見た目がスマートでなければ共感を得ないし、来たるべきウエアラブルコンピュータなどのプロダクトも、まずおしゃれでなければ関心を向けてもらえない。これまではエンジニアリング一本だったこの地にも、デザインがどれほど大切なものかが浸透してきたのだ。 だが、見た目のデザイン以上にもっと大切なデザインがある。それは「デザイン思考」と呼ばれる、目に見えないデザインの方法だ。 大手企業のデザインを手掛ける、スタンフォード大教授 デザイン思考とは、デザインをする際に行う思考の手順である。この時のデザインというのは、製品やファッションなどモノのデザインに限らず、組織のあり方や新しいビジネス、カスタマーサービスの方法など、エクスペリエンスや潜在的な力を生むための状態などを対象としたものである。 シリコンバレーのテクノロジー関
ライフハッカーのナイトスクール開講。IDEOのデザインシンキングを学ぶ。 優れたデザインとは、グラフィックや造形だけでなく、世の中の問題点や課題を明確にして、解決策を導きだすこと。ある意味では医者やコンサルの仕事にも近いのだと思います。近年、そのアプローチは「デザインシンキング(思考)」と呼ばれています。グラフィックデザイナーやクリエイティブディレクターが広告や雑誌にとどまらず幅広い分野で活躍できるのはそのスキルで社会を豊かにできるから。アップル社の初期マウスやPalmをはじめ、数々の世界的企業との仕事で知られる、デザインコンサルティングファーム IDEO(アイデオ) 。彼らが世界的に活躍しているのもデザインが社会に与える影響力の強さを物語っているのではないでしょうか。 『ライフハッカー[日本版]』が主催するナイトスクールは、いまの世の中のキーパーソンに登場いただき、その仕事術を共有する学
もう9回目を迎える【気になる研究者】シリーズですが、博士1年の安斎からはアメリカの心理学者、ミハイ・チクセントミハイを紹介したいと思います。研究室メンバーからは「どうせキース・ソーヤーでしょ」と思われていたようなので、変化球を...笑 チクセントミハイの研究の軸は2つあるといえます。1つは、「楽しさ」です。いわゆるフロー理論ですね。フローに関してはこれまでも散々紹介してきたので、こちらをご参照下さい。 https://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2010/08/post-250.html そして今回取り上げたいもう1つの軸は、「創造性」です。フロー理論が心理学的なアプローチだったのに対して、チクセントミハイはもう少し大きなケタで創造性について研究をしています。 創造性研究において「創造性とは何か?」というのは一つの主要な問いであり、その定義に関しては様々
市川伸一編,「認知心理学4:思考」,東京大学出版会, 1996. pp.181-203 (第8章)の一部を抜粋修正し,またこれに加筆したものです. はじめに:創造的な仕事の多様性 創造的思考とは思考の特別な種類をいうわけではない.それは創造的な仕事に従事している際の思考のありかたや効果の特徴をいう. 思考のありかたは人間のこころ,あるいは脳における情報処理によっても特徴づけられるだろうし,同時にこころがからだを通して働きかけている相手である環境の性質によっても特徴づけられる. ひとくちに創造的な仕事といっても,さまざまな規模と種類のものがある.さらに創造性の評価の視点も複数存在する. 作曲 絵画 産業における技術開発 科学における仮説生成 有限個の幾何図形を組み合わせて意味のある形を創り出す作業 夕飯の献立の準備 これらはすべて創造的思考の結果であるけれども,あるものは数分で完成し,あるも
Stanford d.schoolにおいてはデザイン思考は5つのステップ:EMPHATHIZE(共感),DEFINE(問題定義),IDEATE(創造),PROTOTYPE(プロトタイプ),TEST(テスト)として説明されています.それぞれのステップの詳細とプロセス全体を進めるにあたっての心構えについてはDesign Thinking – Bootcampのサイトが分かりやすいでしょう. 人気を博しているデザインシンキングですが,この5つのプロセスを順番に進めるだけでイノベーションが生まれるのか?という疑問が湧くのは自然なことでしょう. 先日d.schoolで教鞭を取るティナ・シーリグとミーティングをする機会がありましたが,彼女はこのモデルとは少し違うかたちで創造のプロセスを捉えているようでした. d.schoolを運営する資金を提供しているHasso Plattnerが描くデザインシンキン
造れば売れる時代は、とうに過ぎ去った。造るべき物が見えにくい今ほど、創造的なアイデアが求められている時代はないだろう。そうした中、創造的なアイデアを生み出す「デザインシンキング」を世に広めようとしているのが、社会人主体の大学院である慶応大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以下、慶応SDM)だ。デザインシンキングとは何か、既存の発想法とはどう違うのか、そして世界でデザインシンキングはどう活用されているのかといったことについて、慶応SDM非常勤講師であり、コンサルタントとしてデザインシンキングの活用支援を手掛ける富田欣和氏に聞いた。
特集:イノベーションデザイン 総括 富士通におけるHCDの変遷とイノベーションデザインへの展望 富士通のデザイン部門では,これまで一貫して人間要因の検討から人間主体にデザイン開発を行う「ヒューマンセンタードデザイン(Human Centered Design:HCD)」を実践し,HCDのための手法やプロセスを拡大・深耕してきた。今日ではクラウドコンピューティングの時代を迎え,人々が営みを続ける社会や地球環境にも焦点を当てたデザイン活動の必要性が高まっている。企業が提案するモノやサービスが何のために必要なのか,そのモノやサービスは社会にとって「善」なのかを考え,社会に対する「恩恵」と「影響」を評価・検証・実感しながらモノづくりやサービス開発を行うことが重要になると考えている。 本稿では,まずICTの発展と呼応するように実践してきたHCDの変遷に関して,ハードウェアを中心にしたHCD,ソフトウ
博士課程に進学し、研究と社会との接続をより意識するようになりました。修士研究では自分の興味関心に赴くままに好きなことを好きなようにやらせてもらいましたが、博士課程に進学してからは、修士論文をどの学会に投稿するか?論文の宛先は誰なのか?社会的なステークホルダーは誰なのか?研究者としてどのような形で社会に価値を生み出せるのか?そんな問いを意識し、実践と研究を戦略的に連携させながら活動をするようにしています。 その方法論自体を学ぶために「研究者の仕事術」というインタビューメディアを昨年の秋に立ち上げ、この活動は僕自身の重要な学習機会になっています。また、そこで学んだ視点を参考にしながら、今年の1月にはワークショップ実践者を対象にした、ワークショップの方法論の公開研究会「Ba Design Lab」も立ち上げ、現場の実践者同士のつながりをつくり、そこから研究のヒントを見つけ、さらに研究知見を現場
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