宮崎駿監督の新作「君たちはどう生きるか」ポスター=スタジオジブリのTwitterより 「私自身、訳が分からない」 「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」。 2023年2月下旬、東京都内のスタジオで上映された、「君たちはどう生きるか」の初号試写。米津玄師の歌うピアノバラードが流れ、エンドロールが終わった瞬間、灯りが点き、宮崎駿監督のコメントが読み上げられた。 客席から軽い笑い声が漏れた。私もその一人だった。あまりの展開の速さと、盛り込むだけ盛り込まれた情報を消化しきれず、茫然と座り込んでいたが、その言葉で我に返った。 これは「宮崎アニメ」の集大成なのか、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』の再解釈なのか。とにかく、1回見ただけではとても全容を把握できなかった。 「自分のことをやるしかない」 今回の作品は、公開前のプロモーションも、メディア関
シリーズ累計920万部超の大人気ジャズ漫画「BLUE GIANT」(原作:石塚真一)が、2013年の連載開始から10年の時を経て、アニメーション映画化され2023年2月17日に公開となった。 “音が聞こえてくる漫画”として数々の口コミと共に高く評価されてきた「BLUE GIANT」だが、今回の映画で音楽を担当したのは世界的ピアニストの上原ひろみ。今回、主人公・宮本大たちが結成するトリオ“JASS”のオリジナル曲だけでなく、劇伴音楽をほぼ全曲書き下ろし、演奏及びサウンド・プロデュースを務めている。 「最大の音量、最高の音質で、本物のジャズを届けたい」というスタッフの情熱が込められた映画『BLUE GIANT』の魅力を、音楽評論家の原田和典さんが解説した原稿を掲載。 <関連記事> ・最高のブルーノート・アルバム50枚 ・ブルーノート栄光の歴史:1939年創立、ジャズの最高峰レーベル ・なぜ、ジ
音楽、青春を描いたアニメーション映画として、ひとつ次元の異なる作品が完成したという印象だ。石塚真一の漫画を原作に、“音”と“動き”を新たに表現した劇場アニメーション『BLUE GIANT』は、アニメファン以外にも、多くの観客を惹きつける力のある仕上がりとなっている。 ここでは、そんな本作が映画化された意義や、達成したものを考えながら、日本の映画、アニメーションがジャズを題材にすることについて考えていきたい。 「オレは世界一のジャズプレイヤーになる」と志し、仙台の広瀬川の河川敷で、日々テナーサックスを吹き続けてきた高校生、宮本大(みやもと・だい)。その夢を本格的に始動させるため、卒業後に東京にやってきた彼が、同郷の玉田俊二(たまだ・しゅんじ)や、若手ピアニストの沢辺雪折(さわべ・ゆきのり)とともに18歳の若手バンド「JASS」を結成し、日本有数のジャズクラブでの演奏を目指すというのが、本作の
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ドイツ西部の都市ケルンで1月28日(現地時間)、『この世界の片隅に』(英題: IN THIS CORNER OF THE WORLD)が映画祭「AKIBA PASS FESTIVAL」のプログラムのひとつとして上映された。『この世界の片隅に』のドイツ国内上映は同映画祭が初めての機会。さらに、昨年11月に海外配給が決定してから世界に先駆けた日本国外上映となる。ドイツの観客はどのように観たのか、また上映作品として選ばれた理由を探りに現地を訪れた。 『君の名は。』にはないストーリーテリング AKIBA PASS FESTIVALは、日本のアニメを専門としたドイツ語圏(ドイツ、オーストリア、スイス)向けのウェブサイト「AKIBA PASS」を運営する「peppermint anime」(ペパーミント・アニメ)が主催。『この世界の片隅に』は日本のアニメ15作品と共に、1月21日のドイツ・ハンブルクを
映画が終わり、館内が明るくなった時、私(松浦)は右隣で観ていた老婦人が暗くなったスクリーンを見つめたまま、拭いもせずにぽろぽろと涙を流し続けているのに気が付いた。左隣は、高校か大学かの姉妹らしき2人組みだったのだが、2人とも手にハンカチを持っていて、時折目元を押さえていた。 私はといえば、(とんでもない傑作をみた)とくらくらする頭を振っていた。あらかたの涙は鼻に流れ、ぐすぐず鼻をすすっていた。 現在ロードショー公開中のアニメーション映画「この世界の片隅に」(監督:片渕須直)である。 泣ける映画だが、泣けるだけの映画ではない。笑える映画だが笑えるだけの映画でもない。ホームドラマだがホームドラマというだけでもない。迫力の戦争映画だが、戦争一辺倒というわけでもない。 その全てだ。 地味と言えば地味な映画ではある。すずという18歳の絵を描くのが好きな女性が広島から呉に嫁ぎ、戦時下を生きる。その昭和
日本中の想いが結集! 100年先も伝えたい珠玉のアニメーション 『この世界の片隅に』感動が日本全国で拡大中! 片渕須直監督が6年の歳月をかけて作り上げたアニメーション映画『この世界の片隅に』が絶賛上映中です。本作は戦時下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向いて生きる女性、すずを描いた珠玉のアニメーション映画です。 今作はすでに広島国際映画祭「第1回ヒロシマ平和映画賞」を受賞し、先日発表されたヨコハマ映画祭では、なんと作品賞に輝き、2016年日本映画ベストテンの第1位となりました。 現在、日本のみならずイギリス、フランス、ドイツ、メキシコ、アメリカを始め世界配給も15か国が確定していると聞きます。 しかしもともと、大手映画会社が絡んでいないインディペンデント作品で、オープニングスクリーン数も64からスタートしたこの作品が、SNSを通じて広がり上映館も拡大していき、公開4週目にし
遅れ馳せの視聴であり、市井には既に優れたレビューや感動の声が多くあるようなので、でしゃばることもないのでしょうが。 記すこと、遺すことについて考えずにいられない作品でもあるので、つれづれに書いておきましょう。 なお、私は原作である漫画版「この世界の片隅に」を既読しており、映画「この世界の片隅に」を一度視聴した立場であること。 また、劇場パンフレットを含む関連書籍は未購入であること。 先駆者の皆さまの感想などは、今のところ見出しを眺めた程度であること。 故に、記憶違いや誤解などが含まれる可能性があることが前提となります。 そして当然ながら、作品の内容に言及するため、ネタバレの感想となります。御容赦。 . . アニメファン、あるいは映画好きのひとりとしては、非常に満足度の高い一本でした。 映像美術、音響、演出、演技、考証。 それぞれに質が高く、また互いの嚙み合わせも一致していて、頭が躓くことは
以下の文章は、英国のクリスチャン・ラデフさんによる『この世界の片隅に』のレビュー全文をきしるなお(twitter:@xylnao)が翻訳したものです。 http://vulturehound.co.uk/2016/11/an-ode-to-stolen-moments-in-this-corner-of-the-world-film-review/ 奪われた時間たちに捧げる詩〜『この世界の片隅に』映画レビュー 2016年11月29日 クリスチャン・ラデフ この映画を紹介してくれたアニマツ・エンターテインメント重役のひとりジェローム・マザンダラニは「すべてが糞だった2016のような年だが、『この世界の片隅に』があるぞ」と言った。まったくその通りだった。 『この世界の片隅に』では1933年、広島での浦野すず(能年玲奈)の幼年期から話が始まる。そこでは幼いすずの笑いと家族愛、そして暇さえあればあ
2016年11月23日 12時37分 by ライブドアニュース編集部 ざっくり言うと 映画「この世界の片隅に」がヒットした理由について分析している 事前に作品を観た著名人や批評家らが絶賛してネットに拡散していたという 事務所から独立し「のん」と改名した能年玲奈の本格的な復帰作でもあるそう 11月12日に公開されたアニメ映画『』が土日2日間で初週を大きく上回る興行収入5,679万8,980円、観客動員数3万9,638人を記録し、前週に続いて10位にランクインした。今年は『君の名は。』が興収200億円も視野に入る驚異的ヒットとなっており、2週連続10位など大したことはない……と感じるかもしれない。が、全国63館から始まった小規模公開でランクインしたのは相当な快挙。上映館数で言えば『君の名は。』の約5分の1であり、100館に満たない作品がランキングに入るケースは希少なのだ。そのヒットの理由を分析
トークショーを行いヒットの要因について語った片渕須直監督 アニメーション映画『この世界の片隅に』の片渕須直監督が19日、東京・三鷹市で行われた第7回三鷹コミュニティシネマ映画祭でトークショーを行った。 『この世界の片隅に』片渕須直監督、ヒットの要因を分析「戦時中ものだけど実は新しい」 画像ギャラリー 三鷹市に映画館を復活させたいと願う市民ボランティア有志と、映像文化で街を活性化させたい三鷹市の第三セクター(株)まちづくり三鷹が実行委員会形式で開催している本映画祭。この日は片渕監督の特集が組まれ、『アリーテ姫』『マイマイ新子と千年の魔法』の2作品が上映された。 ADVERTISEMENT 現在公開中の『この世界の片隅に』は戦時中の広島県呉市を舞台に、ある一家に嫁いだ少女が戦禍の激しくなる中で懸命に生きていこうとする姿を追い掛ける片渕監督渾身の一作。12日に公開され、上映館数100館に満たない
冒頭5分間の奇跡 予告のPVを見ている時分から、「これはすごい!」という予感はあったのである。しかしながら、本編はそんな予感をはるかに超えるものであった。 原作とおなじく、海苔が干してある浜辺で、すずが母親に海苔の荷を背負わされる所から映画は始まる。原作よりもかなり引いたカットになっており、小さなすずがほぼ真ん中にちょこんと立っている。荷物を背負うすず。すずはまるでその風景の一部のようだ。画面全体に充満する微かな浜辺の音。下手すると汐の香さえ漂ってきそうである。原作に忠実どころの話ではない。原作の諸要素を最大限増幅させたような圧倒的な「空気感」に「うわあ、ちょっと!ちょっと、これは!」とつい変な声が出そうになった。何がちょっとなのか自分でもわからない。入って来る情報が多すぎて混乱していたのであろう。 そして、いきなりすずの語りが始まる。どんな事情の人が声をあてていようが私には関係ないのだが
リン(右)を演じた岩井七世さんについて、「複雑で難しい役だったと思いますが、岩井さんの声は素晴らしかった」と岩渕監督 (C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 11月12日(土)に封切りされ絶賛の声が巻き起こっている「この世界の片隅に」。漫画とアニメーション――まったく違う媒体で同じメッセージを伝えるために、片渕監督は何をかえ何を残したのか。 監督へのインタビュー第3回、最後は物語の核心に触れるお話です。 ※本インタビュー記事は後半に物語の核心に触れる「ネタバレ」要素を含んでいます。まだ本作品をご覧になっていない方はご注意ください。 (中編からの続き) ――白木リンを演じられた岩井七世さんの艶っぽい声も印象的でした。 リンさんを演じてくれた岩井さんが最後に決まったキャストなんですよ。というのも、すずさんとリンさんのキャスティングはセットで考えなければならなくて。リンさんって
映画『この世界の片隅に』が韓国で開催された第19回富川(プチョン)国際アニメーション映画祭 長編コンペティション部門にて下記の賞を受賞いたしました。 ... 【追加情報】2016年11月24日追記 皆さまへのご報告 「映画『この世界の片隅に』の海外上映を盛り上げるため、片渕監督を現地に送り出したい」にご支援いただきました皆さまへ 皆様の熱いご支援のおかげで、このプロジェクトは2016年11月22日15時の開始後、わずか11時間で目標金額である1,080万円を達成いたしました。これで無事、片渕須直監督を世界の上映国に送り出すことが可能になります。『この世界の片隅に』スタッフ一同、改めて心より感謝申し上げます。ありがとうございました。 さて、予想外のスピードで目標を達成したことを受けまして、プロジェクト実行者である「この世界の片隅に」製作委員会は、片渕監督とも協議のうえ以下2点について決定い
「『この世界の片隅に』で演じた主人公のすずさんと私の共通点は、絵を描くのが好きなところと、あとボーッとしていると言われるところも同じなんですけど、すずさんはパワフルでポジティブ。そこに共感します」 私が「そうそう、猫背なところもすずさんとの共通点なんですよね?」と言うと、「あちゃあ、こりゃいけん」という表情で背筋をピンと伸ばしてすまし顔をするところが、まさにリアルすずさんでした。お話をうかがったお相手は、のんさん。12日に公開されたアニメ映画「この世界の片隅に」で、ほんわかしてのんびりした主人公すずの声を担当しています。舞台が戦時下の広島で、すずは広島弁なので、「心の声」も勝手に広島弁にしてみました。何しろ映画を見るともう、すずさんがのんさんに、のんさんがすずさんに重なってしまうのです。 さてここからはネタバレを含みますのでご注意下さい。 こうの史代さんの同名マンガ…
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