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ブックマーク / www.anlyznews.com (99)

  • MMTが誤解されるのは、根拠と主張の乖離があるから

    オカシオコルテス下院議員が非主流派経済学MMTの信奉者だと言う話が広がって以来、メディアなどでMMTが取り上げられる機会が増えているのだが、MMT信者の人々がメディアのMMT理解がおかしいと憤っている。確かに、ロイターの記事*1あたりは私が知る限りでも多くの誤解がある。しかし、MMTの教祖と信者が招いた現象のようにも思える。 非定型の誤謬推理に、根拠と主張の乖離(Non sequitur)と言うものがある。前提から演繹できない結論を主張する支離滅裂な主張、理由になっていない理由のことで、どうもMMTの信奉者の多くはこれを自覚なしでやっている。そもそもMMT信者の人々が、MMTの主張が何であるか把握しているのかすら怪しいところもある。 経済学者のスコット・サムナーが、ノーベル賞受賞経済学者のポール・クルッグマンのMMT批判に対するステファニー・ケルトンの返答を「その思想について明確な説明を与

    MMTが誤解されるのは、根拠と主張の乖離があるから
  • AD-ASモデルで見たMMTの不況対策

    にわかに非主流派経済学の中の地位を高めつつあるMMTだが、MMT信者がMMTの主張をよく理解していないのではないかと思うときがある。私がMMTを理解しているとは言い難いが、MMT教祖の政策的インプリケーションと思われる言葉を投げてみると、MMT信者が分かっていない、誤読していると言い出すからだ。 単なる信者の無理解と言うわけでもない。教祖の話も要領を得ない。ネットで公開されているMMT教祖の言説を見ると、資金循環統計のバランス制約、信用創造や貸付資金説の否定に力点が置かれているのだが、彼らの政策的インプリケーションにはほとんど関与しない。いわゆる主流派やケインジアンを批判することでMMTの正当性を訴えたいのかも知れないが、批判対象はこれらの仮定にほとんど依存していない*1し、主流派が間違っていても、論理的にMMTが正しくはならない。根拠と主張の乖離(Non sequitur)と言う誤謬推理

    AD-ASモデルで見たMMTの不況対策
  • MMTのインフレ率決定モデルに関する議論の問題点

    話題の非主流派経済学MMT教祖の一人、Tymoigne氏のブログのエントリーMoney & Bankingをどう思うかと言う御題が投げられて、Part 11: Inflationをやる気なく読んでみた感想を書いておきたい。MMT信者には何が問題なのかわかりづらいようなのだが、何を主張したいかは分からなくもないのだが、色々と議論に問題があって、ほとんど根拠をつけることができていない。 話の流れとしては、古典的な貨幣数量説を否定して、カレツキー方程式からのインフレ率決定理論を導き出し、労働生産性上昇率よりも賃金率があがればインフレ、利上げをすると資コストが上昇してインフレと言う定理を主張している。こう書くとマトモに思えるかも知れないが、置いている暗黙の前提が強いものだし、矛盾した主張を展開しているし、統計の見方が悪いし、特に因果関係を安易に定めているし、累積債務(≒ストックの貯蓄)と言う概念

    MMTのインフレ率決定モデルに関する議論の問題点
    midnightseminar
    midnightseminar 2019/05/02
    たしかに、インフレ率がどう決まるのかについて理論的・実証的な足場固めがないと、「財政政策でちょうどいいインフレ率に誘導すればいい」的な主張をするのは拙速な気はする。
  • 第一生命経済研究所のレポートにある日照時間による消費の推定について

    ついったーらんどで第一生命経済研究所首席エコノミスト永濱利廣氏が書いた「テーマ:不確実性の高いサマータイム効果」の中の日照時間による消費の推定式がトンデモ扱いされていたのだが、しっかり問題点を把握しない非難が多かったので、非難の方の問題を指摘した上で、推定の問題点を再整理し、推定をやり直した上で、推定結果の解釈について批判したい。弁護から入って、結局はdisる。 話題になっている推定結果は以下だが、つらつらと見て行こう。 1. 不適切だと考えられる非難 一般線形回帰(OLS)だから稚拙だという非難があったのだが、教科書の最初の方に載っている技法が不適切とは限らないので、これは批判になっていない。論文などでOLS以外の技法を使う事が多いのは、対処しないといけないバイアスがあったり、非線形モデルの推定を行う必要があるからだ。線形モデルで、同時性(内生性)や不均一分散などの対処すべき問題が無けれ

    第一生命経済研究所のレポートにある日照時間による消費の推定について
  • P値を捨てた雑誌で使われている統計量

    ラジラジ言っている北海道の心理学者PsycheRadio氏と話をしていたときに、「心理学で(他の学問でも)統計的検定や推測統計学への批判が高まって以前ほど使われなくなりつつある」と言われたが、違和感がある。少なくとも社会科学分野で使われなくなったとは聞かない。話の流れにあわせて誤魔化されている気がするので確認してみた。 1. 確かに統計的仮説検定は非難されている PsycheRadio氏が全く無根拠な話をしているわけではない。統計的仮説検定によって、胡散臭い統計手法で有意性を捻り出してしまうこと(p-hacking)などが問題になっており、また統計モデルと研究上の仮説の相違を理解しない運用もある。アメリカ統計学会(ASA)が統計的仮説検定に対する注意を喚起する声明を出したぐらいだ。実際に、統計的仮説検定を禁止された雑誌もある。氏が例に挙げたBasic and Applied Social

    P値を捨てた雑誌で使われている統計量
    midnightseminar
    midnightseminar 2018/05/09
    “査読者が統計的仮説検定を正しく運用できているかチェックし、効果量の大小も評価するように執筆者に勧めれば済むのだが、なぜか統計的仮説検定を禁止して、効果量の大小の表記のみを許すと言う話になっている”
  • 世界はデフレでも成長している

    国際決済銀行(BIS)のペーパーで、歴史的には世界はデフレでも成長している事を説明しているモノ*1が流れていたのだが、この世の問題を全てデフレに帰着しがちな人に読ませたいものとなっていた。1870年から2013年までの38の国と地域を対象にした分析を行い、大恐慌を除けば消費者物価の下落は経済成長に影響を与えているのか怪しい一方、資産価格の下落は影響を与えていると言えるそうだ。このペーパーを読む限り、そう頑張って脱デフレをする必要は無さそうである。 分析期間全体で単回帰分析をすると消費者物価と経済成長率に相関が無いわけではないのだが、大恐慌のある期間を除くか、資産価格も加えて重回帰分析をすると、消費者物価と経済成長率の関係い有意性は観察されなくなる。ボラティリティから見て粘性デフレ期だけを取り出しても、傾向は変わらない(右上図)。テクニカルには物価が経済成長率に与える影響と、経済成長率が物価

    世界はデフレでも成長している
  • 人工知能に採用判断を一任すべきでは無い真の理由

    ちょっと前に『採用選考に「AI」を導入しようとしたが、断念した会社の話が面白かった。』と言うエントリーが話題になっていた。ブログ主は医者であってエンジニア等ではないから仕方が無いのだが、ちょっと誤解があると言うか、人工知能に採用判断を、少なくとも一任すべきでは無い真の理由が見落とされていた。それは、人工知能が「なぜこの人を選んだのか。なぜこの人を選ばなかったのか」を説明できないからではない。 1. 機械学習の判断理由を見ることもできる 人工知能と言っても色々とあるのだが、最近の流行は教師つき機械学習なので、この事例においてもそれを使っているであろう。そして、機械学習では(ここでは採用不採用を決定する)分類器を構成する事ができるのだが、分類器がどういう特徴を持っているのかは、把握し難いところがある。しかし、把握する方法が無いわけでは無いし、そもそも把握する必要は無いかも知れない。 機械学習

    人工知能に採用判断を一任すべきでは無い真の理由
  • はあちゅう氏のセクハラ告発に関して

    人気ブロガーのはあちゅう氏が、電通在社時に体験した人気クリエイターの岸勇希氏からのパワハラ/セクハラ体験を告白し*1、反響を得ている。岸氏は全面的にではないが事実を認めているし、セクハラは非難されるべき問題なので、はあちゅう氏に文句が出るはずが無いのだが、ネット界隈でははあちゅう氏の普段の言動との関係を疑問視する声が上がっている。このはあちゅうdisには加わる気はないが、別に気になった点を挙げておきたい。 1. はあちゅう氏(当時)のソーシャルスキルの低さ まず、この騒動で、はあちゅう氏は(少なくとも当時の)ソーシャルスキルの低さを意図せず告白している。男女関係についてアレコレ指南するのが好きだと言うことは、自分のソーシャルスキルに一定の自信があると言うことであろうが、肝心なポイントで男女関係をマネジメントするのに失敗している。セクハラする方が悪いのは決まっているのだが、不法行為に対処する

    はあちゅう氏のセクハラ告発に関して
    midnightseminar
    midnightseminar 2017/12/31
    “男女関係についてアレコレ指南するのが好きだと言うことは、自分のソーシャルスキルに一定の自信があると言うことであろうが、肝心なポイントで男女関係をマネジメントするのに失敗している”
  • 外交だけではどうにもならない事が分かる『戦前日本の「グローバリズム」』

    お茶の間で人気の国際政治学者・三浦瑠麗氏の“戦前の方が国家観・歴史観を持ち、理念を掲げられる日人が育っていた”論の元ネタとして『戦前日の「グローバリズム」』が紹介されていたので拝読してみた。戦前の政治指導者や思想家にトンデモ感を感じたので、三浦女史の元ネタでは無いと思うが、1920年代後半から終戦までの日の外交政策や市民意識に関する通説を否定しているで、中身自体は興味深かった。 理路整然と言うか、章の最後にそれぞれまとめがあって、歴史としては主張がはっきりしている方だと思う。色々と通説には、大きなものとは思えなかったのだが、誤解があるらしい。 1930年代の日は、満州国を含めた経済ブロックを作って自給自足圏を構築することを目指していたように理解されているが、実際は政界・経済界の満州への期待・関心は薄く関東軍が危機感を持つほどであり、満州には米国など外資を誘致して開発を行なおう

    外交だけではどうにもならない事が分かる『戦前日本の「グローバリズム」』
  • 地下鉄の科学 - トンネル構造から車両のしくみまで

    地下鉄は現代的な大都市には必ずある身近な交通機関なのだが、公共交通機関の中では地味な扱いである。地下だけに写真も撮りづらいから撮り鉄も被写体としづらいようだし、路線網だけに狭いスポットから全体を見渡せるわけでもないので、巨大建造物が大好きな30代以降の自称少年/少女も、わざわざ地下鉄を見に行こうとは行かないようだ。しかし、列車を地下に走らせるには穴を掘らないといけないし、視界が悪く密閉されているので運行上の危険も増す。少し知識を深めると、面白みが出てくるかも知れない。 そういうモチベーションで、「地下鉄の科学 - トンネル構造から車両のしくみまで」を読んでみた。科学ではなくて工学、副題から章を立てて話がある運行システムの話が抜けているのが気になるのだが、浅く広くトピックをカバーしていて門外漢には丁度よい。穴を掘るのが技術的・経済的に大変で色々な土木技術が使われていること、信号網にしろ排熱/

    地下鉄の科学 - トンネル構造から車両のしくみまで
    midnightseminar
    midnightseminar 2017/09/03
    シールドマシンの展示とかみるとワクワクする
  • ポストモダンはその修辞法と共に消えるべき

    物理学者のアラン・ソーカルがフランス現代思想における数学・科学用語の濫用を荒っぽい方法で批判した後、ポストモダン界隈の仲正昌樹氏がソーカルの批判は枝葉末節で質的ではないと、ソーカル事件からポストモダン批判をする人々を批判しているそうだ。これに関して批評家の山川賢一氏が、仲正氏のポストモダン擁護を批判している*1。 このやり取りに関してツイートはしたものの、このブログではスルーするつもりだったのだが、仲正氏からメールを貰い、その中で「あなたは前にも山川に同調して、私を攻撃するようなツイートしていませんでしたか?私に個人的怨みでもあるのですか」と、批判を個人攻撃に捉えるアカデミアにあるまじきメッセージを貰ったので、改めて批判しておきたい。 1. ラカンの文章の説明について ソーカルの著作『「知」の欺瞞』に、著名ポストモダン作家ラカンの『私が「無理数=不合理」と言うとき、何も私はある種の測り知

    ポストモダンはその修辞法と共に消えるべき
    midnightseminar
    midnightseminar 2017/05/25
    “「あなたは前にも山川に同調して、私を攻撃するようなツイートしていませんでしたか?私に個人的怨みでもあるのですか」と、批判を個人攻撃に捉えるアカデミアにあるまじきメッセージを貰った”
  • こども保険は嫌税政権での現実的な妥協案

    公的年金保険料を増額して未就学児の児童手当の上乗せと保育所の拡充を図る「こども保険」だが、保険と言うよりも所得分配政策に近いので、経済学者の島澤諭氏「違和感を感じる」、中田大悟氏が「理解に苦しむ」と批判している一方で、公的年金の賦課方式において子育てをしない家計が出てくるフリーライダー問題を緩和する機能があると、小黒一正氏が『「こども保険」の理論的な整理』でその意義を紹介している。 世代間扶養を前提とした公的年金は、現役世代が払った保険料が、高齢世帯の給付金額になる。ある世代(t世代)への給付が、その次の世代(t+1世代)の人口に依存するのだが、t世代の中で経済的負担を行い妊娠・出産をした子持ち家計も、そうでない子無し家計も同じ年金給付を受け取る。子育てによる経済的負担を敬遠しつつ、公的年金を享受するある種のフリーライドが可能になるわけだ。話題の「こども保険」は、これによる不公平を是正し、

    こども保険は嫌税政権での現実的な妥協案
  • 労働市場シグナリング仮説と外部効果の推定量

    大学で学んだ事を仕事に活かしているかと聞かれて、答えに詰まる人は多いと思う。高等教育を受けている人の生涯賃金が高い事は分かっているが、医療系専門職などを除けば大学教育が職能を高めているかは明確では無い。 名のある企業家に大学中退者は少なくない。文系どころか理系で研究開発に従事する人で学部の専門とは全く違う事をするケースも数多くある。プログラミングをしていると、大学の教育内容を使っていたりするので職能を高めそうな気はするが、大学に通っていなくても知識として習得できているのも確かである。 教育された専門知を直接活かす機会がない高等教育を受けた人々の賃金向上は、いかなる理由でもたらされているのであろうか。 1. 人的資 vs 労働市場シグナリング 大きく分けて、二つの説明がある。一つは、教育された専門知を直接活かす機会がなくても、大学教育が職務遂行能力の向上をもたらしていると言う、人的資仮説

    労働市場シグナリング仮説と外部効果の推定量
  • 人文学は何の役に立つのか?

    個人が学費を払って学ぶ意義は何か、研究・教育に公的補助を与える意義は何かと言う質問に、医歯薬系など技能や資格の習得に直結しない分野の研究・教育者はいつも回答に困っている。もっとも、多額の費用と学習努力が必要な理工学分野の方が深刻で*1、専門的な事を熱心に勉強したいわけではないが、大学卒業資格は欲しいと言う層からの需要で補助金なしに経営が成り立ってしまうので*2、人文学分野の研究・教育者がこの問いに答える意欲は低い。だからと言って、理屈をつけられないわけでもない。 1. 研究・教育に公的補助を与える意義 研究・教育に公的補助を与える意義は、比較的容易につけられる。あれこれ議論になる社会問題を見ると、人文学に分類される歴史や倫理の知見を借りてこないと議論が進まないことは多い。社会保障を正当化するために、厚生労働省はロールズの哲学を借りてきている*3。格闘技に追加された銃剣道がどのようなモノかを

    人文学は何の役に立つのか?
    midnightseminar
    midnightseminar 2017/04/24
    「米国では学部では歴史を専攻していた著名経営者はそこそこ見かける」
  • 森友学園国有地売却不正疑惑を決着に導くための単純な方法

    国有地売却及び小学校の設置認可に政治関与が無かったかが国会で追及されている森友学園問題だが、政治家や財務官僚などに政治関与が無かったか聞いて回ると言う茶番になっている。自ら関与があったと言うはずがなく、もう少し客観的な証拠を固める方が建設的だ。国有地売却価格が適切であったかについてまだ決着がついていないので、そこの関連部分を攻める方が適切であろう。見積もりが不適切である事を証明できれば、官僚の怠惰と政権与党の不監督もしくは政治関与のどちらかがあった事になる。 見積もりの適正さは、地下3mより深いところにあるゴミの分量が撤去費用8億1900万円相当分あるか否かにかかっている。2009年から2012年までに見つかった深さ3mまでの廃材と生活ごみは2015年7~12月に森友学園が除去し、その除去費1億3176万円を国が負担したそうで、8億1900万円は工事で杭を打つ際に見つかった深さ3m以下のゴ

    森友学園国有地売却不正疑惑を決着に導くための単純な方法
    midnightseminar
    midnightseminar 2017/03/28
    ゴミの量も撤去費用も算定が適当で、実際に撤去したかも怪しい。しかしそれが政治家の口利きの結果なのかというと、周辺の土地でも似たような撤去費用が見積もられてるから、要は財務局がいい加減ということでは。
  • 移民政策に関して上野千鶴子を批判する北田暁大の作文が

    2023 (65) ► 12月 (1) ► 11月 (2) ► 10月 (4) ► 9月 (10) ► 8月 (6) ► 7月 (6) ► 6月 (8) ► 5月 (5) ► 4月 (2) ► 3月 (6) ► 2月 (9) ► 1月 (6) ► 2022 (88) ► 12月 (3) ► 11月 (3) ► 10月 (7) ► 9月 (5) ► 8月 (9) ► 7月 (8) ► 6月 (9) ► 5月 (8) ► 4月 (8) ► 3月 (10) ► 2月 (11) ► 1月 (7) ► 2021 (64) ► 12月 (5) ► 11月 (6) ► 10月 (9) ► 9月 (4) ► 8月 (7) ► 7月 (10) ► 6月 (2) ► 5月 (3) ► 4月 (3) ► 3月 (6) ► 2月 (5) ► 1月 (4) ► 2020 (117) ► 12月 (4) ► 11

    移民政策に関して上野千鶴子を批判する北田暁大の作文が
  • 雇用改善しているのに、景気が良くない気がする理由

    金融政策の転換と言う意味でのアベノミクスで景気が回復したような話を良く見かけるのだが、色々と考えると同意しづらい所は多い*1。リフレ派の皆様も、デフレに戻ったので景気対策が必要と言っているので、実のところアベノミクスの成果をそんなに認めていない。なぜ、雇用が良い*2のに、景気が良くない気がするのであろうか。既に反安倍の人々が指摘している事を、請け売りしたい。つまり、高齢化に伴い介護サービスの従事者が増えている一方で、その他の就業者数が以前の水準に回復しているわけではないからだ。 1. 雇用をひっぱる福祉・医療分野 「第12回改定日標準産業分類別就業者」の業種別就業者数のうち、製造業、建設業、福祉・医療の変化を見てみよう。 福祉・医療の従事者数は2002年から2016年までの間、景気の影響を受けずだいたい同じペースで伸び続けている。ここから、2013年4月からの異次元緩和などの影響は受けて

    雇用改善しているのに、景気が良くない気がする理由
    midnightseminar
    midnightseminar 2017/02/14
    「地味なので景況感が悪くなる。全体としてみれば悪く無いのだが、これでは気分は改善しない」
  • 高齢化の影響を除外すれば、日本も成長している

    ネット界隈には今の失業率でも景気が悪いといい続けている人々は相当数いて、最近はその根拠として日だけ一人あたりでも成長していないような事を言っている。確かにGDP成長率どころか、一人あたりGDP成長率でもぱっとしない数字が出てきているのだが、どちらも少子高齢化の影響を受けている事に気づいていないようだ。かつて白川日銀総裁(当時)が指摘していた事の請け売りだが*1、生産年齢人口一人あたりのGDPで見ると、少なくとも現在の日経済は悪くは無い。 かつて白川氏が示したグラフだと、恣意的に期間を切り取っているように思われるらしいので、期間を長くしてバブル崩壊直後の1994年から2013年までの(古めかしいカテゴリーではあるが)先進七カ国のGDP水準の推移を、1994年を100と正規化して見てみよう。 他国に追いついているので、日だけ成長していないと言うことは無く、1998年以降の金融危機の影響か

    高齢化の影響を除外すれば、日本も成長している
  • オバマ大統領とトランプ次期大統領の排外主義の程度の差

    トランプ次期大統領が犯罪歴のある不法移民を国外退去処分にすると主張している事に対して米国内で反発が高まっている*1。米国でもリベラルの皆様はどうも表面的な言説に弱いらしい。ポリティカル・コレクトネスな発言であれば、実態については注意を払わないようだ。批判されているトランプ氏も、現状の移民政策がどうなっているのか、良く把握できていないようだが。 大統領選挙期間中の8月に、オバマ大統領が既に250万人の犯罪歴のある不法移民を国外退去させており、これは前任者のブッシュ大統領の実績よりも、20世紀全体の合計よりも大きい規模であると指摘されていたが(ABC News)、この報道からだいぶ時間が経つのだがまだ浸透していない。トランプ氏の主張は従来路線の肯定でしかないのだが、米国ですら正しく理解されていないようだ。 実効ベースで評価したときに、どちらがより排外主義者なのかは不明瞭である。そもそも十年以上

    オバマ大統領とトランプ次期大統領の排外主義の程度の差
    midnightseminar
    midnightseminar 2016/11/27
    “オバマ大統領が既に250万人の犯罪歴のある不法移民を国外退去させており、これは前任者のブッシュ大統領の実績よりも、20世紀全体の合計よりも大きい規模である”
  • ポリコレ棒で叩かれているモノ

    口が悪いトランプ氏が次期大統領に決まった事で、なぜか世の中に仲間が多いと思ったのか*1、ポリティカル・コレクトネスについての反感を公に唱える人の発言が増しているようだ。ポリティカル・コレクトネスではない事を理由に表現規制を求めるリベラルな人々の行為を、ポリコレ棒と揶揄している。ポリコレ擁護者も出現してポリコレ批判者もポリコレ守られているなどと言い出し、賑やかになってきた。しかし、その擁護者も批判者もポリコレ棒で叩いているモノが何かを曖昧にしていて的の絞れない議論になっている。まずはポリティカル・コレクトネスが問題にしているモノを整理したい。 1. 悪意は無いが差別的とも解釈できる表現の回避 ポリティカル・コレクトネスは、人種など特定グループなどを迫害する意図を持たずに使われるが、よくよく考えると差別的とも言えなくない表現(マイクロ・アグレッション)を回避する行為を指す。例えば、職業の性別分

    ポリコレ棒で叩かれているモノ
    midnightseminar
    midnightseminar 2016/11/15
    半年か一年ぐらい前から急に、PCなんていう古い言葉がネット上に表れるようになったのはなんでなんだ。ここ数日ポリコレとか言われてるのは、トランプ当選のニュースのブクマがきっかけかな。