それぞれのグループは、他者の苦悩にどのような表情を浮かべたのでしょうか。 実験の結果、順序待ちグループに比べ、瞑想を実践したグループは、映像に対して、悲しみ表情をより多く生じさせ、怒り・軽蔑・嫌悪表情をより少なく生じさせることがわかりました。 さらに、四無量心テクニック瞑想により多くの時間を費やした参加者は、さらに多くの悲しみ表情を生じさせることがわかりました。一方、両グループ間において、主観的に抱かれる感情の程度に差異は見いだされませんでした。 悲しみ感情は共感や慈悲心に関連する感情です。苦しんでいる他者に悲しみ感情を抱く人は、人の苦しみに共感し、その人を助ける行動をとる可能性が高まります。怒り・軽蔑・嫌悪感情は拒否に関連する感情です。苦しんでいる他者に怒り・軽蔑・嫌悪感情を抱く人は、その人の苦しみから距離を置き、関心を抱かないようにし、その人を助ける行動をとらない可能性が高まります。