『最後はなぜかうまくいくイタリア人』(宮嶋勲著、2018年、日経ビジネス人文庫)という本がなぜかいま、売れに売れている。 13歳からイタリアに暮らし、イタリア事情に詳しい長谷川悠里氏に本書について以下、ご寄稿いただいた。 ■彼らは“正確なルールに基づいて遅れる” ややもすれば忘れてしまう。イタリアという国が9800キロも遠くにあることを。わたしたちはこの国の見えない“ルール”を、ほんとうはよく知らない。 この本は「イタリア人の法則」を言語化する試みである。著者である宮嶋氏はワインの専門家で、日伊を往来すること三十年あまり。年に百日以上を、かの地で過ごす。 イタリア人が時間について話したら、“読み換え”をしたほうがいい。20時に来てくださいと言われたら、20時30分くらいに行くと、むしろ礼儀にかなっている。彼らがある場所まで1時間かかると言ったら、1時間半かかるということだ。イタリア人が“正