地球上で生命ができる確率は「かぎりなくゼロ」なのに、なぜか生命は存在する「謎」…「神頼み」にしない説明は可能か 「きわめて難しい」ものがなぜ「ある」のか 近年、東京大学の戸谷友則(1971〜)は、いわばホイル説の21世紀版を発表しました。ホイルの時代と比べると、生命の主人公はタンパク質から核酸に移り、宇宙論はビッグバンをさらに進めた「インフレーション宇宙論」に進化しました。 いまでは、生命が誕生するには多数のヌクレオチド(核酸を構成する単位)を結合させたリボ核酸、いわゆるRNAが必要と考えられています。そこから、生命がRNAから始まったとする「RNAワールド仮説」が唱えられているわけですが、条件を満たすRNAをつくるには、ヌクレオチドを少なくとも40個、正しい順番でつなぐ必要があります。 戸谷によれば、それが自然にできる確率を計算すると地球だけではとうてい無理で、10の40乗個ほどの恒星が