世界で最も有名な歴史的建造物の一つであるパリ・ノートルダム大聖堂は、2019年の火災により甚大な被害を受けましたが、半年後、沖縄のアイデンティティの象徴である首里城正殿も焼失しました。いずれも世界遺産の中に位置し、その焼損は世界中に大きな衝撃を与えました。様々な議論がある中で、これらの建物は事故前の姿に復元されることが決定され、作業がそれぞれ進められています。 火災当時のイコモス(国際記念物遺跡会議、International Council on Monuments and Sites;ICOMOS)会長であり、現在名誉会長でもある九州大学河野俊行理事・副学長は、文化遺産の被災と復興の問題を研究対象とし、イコモスにおいても様々なプロジェクトを指揮してきました。河野理事はノートルダム大聖堂の被災によって、この問題には建築にとどまらないより多角的なアプローチが必要であると考え、文化的な背景も