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大学時代、というのはぼくの場合もう30年も前の話だけど、キャンパスには政治セクトが跋扈していた。それらはほぼすべて左翼系で、ひところはけっこう過激な活動もしていたようだが、80年代にはそこそこ穏健な団体になっていた。彼らを通して、全共闘時代の学生運動の残り香のようなものを嗅ぎ取ることができた。でもそれはすでに”歴史”の一部であり、ああ、ああいう感じの活動が盛んだったんだなあと遺跡を見るように眺めていた。 それでも、彼らは立て看板にラディカルなメッセージを書いてはキャンパスのあちこちに立てかけて、存在感を示そうとしていた。そこに書かれた文字は”立て看文字”と呼ばれ独特の、めいっぱい血圧の高いゴシック体のような書体だった。書体からあふれかえる時代錯誤ぶりが面白かった。 立て看板は、政権が替わるたびに「打倒!○○政権!」などと書かれていた。「米帝の手先○○首相を粉砕!」というお決まりのパターンで
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