僕はアンティークやリサイクルの着物の売買を生業としているのだが、たまに、ほんとうにドキドキするものに出会うことができる。 そして、数年に一回ぐらいしか出会わないであろう逸品を、たまたま競り落とすことができたりすると、さすがに激しく興奮する。 僕は男だから、いくらその着物が素晴らしいと思っても、実際に袖を通すことなんてできないし、それを自分のものにしたところで、何度か惚れ惚れと見て、そのあとは仕舞いこんでしまうのがオチである。 仕舞いこんでしまうというのは、たいていそんな着物を競り落とすと、一般のお客様には高すぎる値段になってしまうので、どうしても在庫となる可能性が高いのである。 写真は先日、数年振りに大興奮して、運良く僕の手に落ちてきたひとえの着物である。 大正期ごろの逸品かと思う。 写真でもその素晴らしさが伝われば良いのだが、大胆な構図と色使い、そして細部の染と縫いの仕事は、すべて最高の