先のエントリで触れたとおり、社会科学には「産業構造の変化によって人々の生活前提が変わる」という議論がある。ただ、既に言い尽くされた議論のように見えるこの主張も、それが実際に生じていることを元にした話なのか、これからそういうことが起きるという予測をしているのかが明らかでなかったり、事実としてそういうことが起きるというレベルの話と、それが起こる社会で何をすべきかという理念の話がごっちゃになっていたりする。保守的な社会科学者は「産業構造の変化が私達の生活を根本から一変させたとは言えない」と説明するのに対し、特に情報化に関して「これからは全てが変わってしまう、個人の生き方を変える備えが必要だ」と煽る物書きが定期的に登場する。僕たちは、どちらの言うことを、どこまで真に受けるべきなのだろうか? この論争には終わりがないし、そもそも論点が共有されてすらいない。一方は現在の話をして、他方は未来の話をしてい