たびたび論争になる差別用語は禁止すべきかどうか?という問題。しかし、実はこの問題自体が偽問題である。なぜなら、そもそも差別用語なるものが存在しないからだ。言葉の意味は言葉自身に内在的に、ア・プリオリに決定されているということはあり得ないので。だから差別用語というもの自体があり得なくて、どんな言葉でも差別的な文脈意図を込めて発話するばそういう意味として機能するし、”差別用語”といわれている用語も、そうでない文脈や意図で使えば、そうではない意味で機能する。ストークリー・カーマイケルがあえてブラックパワーという用語を肯定的に使用したのは、その一例を示しているといえる。だから、そもそも存在しないものを禁止すべきかどうかといわれても藁人形論法としか言えない。